パテック フィリップ 初代Cal.89を発表したとき(1989年)、それは史上最も複雑な時計のひとつだった。

Cal.89に搭載された最も珍しいコンプリケーションのひとつは、イースター(復活祭)の日付を示すものであり、(私が知る限りでは)それ以降同じものは作られていない。その理由は、パテックがイースターの日付表示メカニズムの特許を持っているからだけではない。真のイースター日付複雑機構は、時計製造においておそらく最も困難な複雑機構であるという事実も関係しているのだ。それだけに、Cal.89にもかかわらずどう考えてもそれは不可能かもしれない。

パテック フィリップ Cal.89。ラトラパンテクロノグラフ、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー、そしてチャイムのコンプリケーション機能を搭載している。
Cal.89のイースター日付機構は、1983年にパテック フィリップが特許を申請したものである。この特許には、イースターの日付メカニズムの発明者として、ジャン=ピエール・ミュジ、フランソワ・ドヴォー、フレデリック・ゼシガーが名を連ねている。ジャン=ピエール・ミュジは40年近くパテック フィリップに在籍し、長年にわたり同社のテクニカルディレクターを務めた。イースターの日付を表示する機構は、1989年から2017年までの正しい日付を表示するよう設計された。今、Cal.89の4本の時計がすべて修理を必要としている理由は、Cal.89が正しい日付を“認識”している仕組みに関係している。

イースターは、キリスト教暦の“移動祝日(年により日付が変わる宗教上の祝日)”のひとつ。毎年違う日が祝日になるのだ。イースターの基本的なルールは、春の最初に訪れる満月(春分の日のあとの最初の満月)のあとの最初の日曜日だ。そして天文現象により、イースターの日付は毎年変わる(暦の不規則性と同様、ただひとつの日付を選ぶというさまざまな提案が何世紀にもわたってされているが、今のところどれも定着していない)。このため、イースターは3月22日から4月25日のあいだのどこかとなる。

Cal.89のイースター日付機構は、ノッチ付きプログラム歯車のおかげでイースターの正しい日付を認識してくれる。基本的に、プログラム歯車は1年ごとに1ステップずつ進み、各ステップの深さは異なる。その深さに応じて、イースターの日付を示す針がその年の正しい日付にジャンプするのだ。

パテック フィリップ Cal.89のイースター日付機構。オリジナル特許より。

そのメカニズムは結構シンプルだ。上の特許図面からは、3時位置のすぐ右側にプログラム歯車と、実際の針を動かすクエスチョンマーク型のラックが見える。そこに針そのもの(15番)と、正しい日付にジャンプした針を固定するための渦巻バネが示されている(ラックはレバー27によって持ち上げられ、レバー27は28で回転する。同じレバーは、歯車40を介してプログラム歯車を記録する。ラックの足がプログラム歯車のステップ10のいずれかに乗っており、26のバネによって固定されているのがわかるだろう)。

この独創的に設計されたメカニズムの唯一の問題は、プログラム歯車のステップ数が限られていることだ。プログラム歯車を見ると、古典的なパーペチュアルカレンダーの中心にあるものを思い出すかもしれないが、うるう年のサイクルは4年に1回(100年と400年で補正があるが、これも予測可能な周期だ)確実に繰り返される。一方、イースターの日付はもっと長い年月の間隔で可能な日付の完璧な順序を繰り返すため、プログラムディスクへ完全に変換することはできないのだ。

Cal.89のイースターの日付は、天空星座図の上のセクターに(レトログラードで)表示されている。

イースターの日付を計算するのは、昔はそれほど複雑ではなかった。ユリウス暦による規則がかなり単純だったからだ。満月の日の完全な周期は、235の太陽月からなる19年周期に従うと考えられていた(ヴァシュロンの超ハイコンプリウォッチ、57260の取材記事で覚えているかもしれないが、いわゆるメトン周期だ)。そしてユリウス暦の完全な周期は76年であった(4回のメトン周期のあと、19×4=76年で、完璧にうるう年周期も完了する)。イースターの日付は、ユリウス暦では536年ごとに繰り返される。イアン・スチュワートが2001年のサイエンティフィックアメリカン誌の記事で指摘しているように、数学的原理は“532年は76年(ユリウス暦の周期)と7年(1週の日の周期)の最小公倍数である”。しかし周知のように、ユリウス暦は太陽の周りを回る地球の実際の時間と、暦の日数を適切に補正することができず、次第に季節と大きくずれていった。

そこにローマ教皇グレゴリウス13世が現れた。彼は新しい暦(現在のグレゴリオ暦)を制定し、ユリウス暦のずれを修正するために、1582年10月4日(木)の翌日を、10月5日(金)ではなく、10月15日(金)とする一度限りの更新を命じた(家主側が1週間半分の家賃を奪おうとしていると見て、多くの農家がこれに反発したという)。

教皇グレゴリウス13世の胸像。1559年、アレッサンドロ・メンガティ作。Photo: Wikimedia Commons

新しい暦では、イースターの日付を計算する新しい手順が導入された。各年にはエパクト(Epact)と呼ばれる番号が割り当てられ、これは1月1日の月齢を表していた(各番号は1から29のいずれか)。また毎年1月の第1日曜日には、対応する文字が与えられた(A~G)。これらの“主日文字”(うるう年は2になる)とその年のエパクト、そしてゴールデンナンバー(メトン周期の位置)は、イースターの日付を計算するために使用される材料となる。ただこれらは基本的なものにすぎず、教会論の月と彼岸を天文学的なものに適切に合わせるためには、実際の計算がはるかに複雑になる定期的な調整が必要となる(物事がいかに早く複雑になるかを知るには、エパクトのサイクルに関するこちらの記事をご覧いただきたい。きっと信じられないほど細かい部分への関心が高まるだろう)。
いくつかのポイントがある。まず、計算で考慮される天文現象は抽象的なものである。教会論は3月21日を春分の日と決めているが、実際の天文学上の春分の日は年によって異なる。第2に、天文学的な満月と教会論の満月は必ずしも一致しない。グレゴリウス13世が暦を改革して以来、そしてそれ以前から、イースターの正しい日付を吐き出すアルゴリズムを作ることは、数学者にとって気晴らしになっていた。19世紀最大の数学者と呼ばれるカール・フリードリヒ・ガウスは、1800年にこのようなアルゴリズムを考案し、ドナルド・クヌース(彼はジョン・コンウェイが発見した無限大よりも、はるかに大きな数の集合を発見したことを表す“超現実数”という言葉を作ったことで有名)は『The Art Of Computer Programming』のなかで、 “中世ヨーロッパにおける算術の唯一の重要な応用は、イースターの日付の計算であったことを示す多くの証拠がある”と書いている。

Astronomical dial of the Caliber 89, with indication of sunrise and sunset, the Equation of Time, star chart, position of the Sun along the Plane of the Ecliptic, and the date of Easter.
Cal.89の天空星座図には、日の出と日の入り、時間の方程式、星座早見盤、黄道面に沿った太陽の位置、そしてイースターの日付が表示される。

(教会暦で)イースターの日付を計算する方法をコンプトゥス(computus)と呼ぶ。プログラムディスクに頼るのではなく、真の機械コンプトゥスを作ることは可能なのだろうか? 答えは“一応できる”だ。最初の本格的な機械コンプトゥスは、ガウスがアルゴリズムを考え出してまもなく作られたようで、現在はフランスのアルザス地方にあるストラスブール大聖堂の天文時計という、多くの時計愛好家が知っている場所に設置されている。実際には1354年頃から3つの連続した天文時計があったのだが、最新のものは1843年に完成した。ジャン=バティスト・シュヴィルゲによって設計されたこのコンプトゥスは、おそらく史上初の本物の機械コンプトゥスを備えている。機械コンプトゥスはこれだけではないが、ほかのコンプトゥスに関する英語の文献を見つけることはできなかった(ストラスブール大聖堂のコンプトゥスに関する本の書評の転載版には、ほかにも少なくともふたつの“似たような”機構があると書かれている)。

確かに、動作原理という点ではこの種の時計は唯一無二のものだ。私はそれがどのように機能するかを積極的に研究しようとしているが、控えめに言っても困難な状況だ。コンプトゥスを使わなくとも、時計自体は時計製造において名作だ。1999年、サイエンス誌に掲載されたブライアン・ヘイズの記事によると、時計の天文列には2500年に1回転する歯車があり、さらにこの時計には、2万5000年に1度だけ春分歳差運動を示す軸を中心に1回転する天球儀が搭載されているという(同記事は2000年問題への対応と、ストラスブール大聖堂の時計がいかにして2000年問題への対応を果たしているかについてのものだった)。

The astronomical clock in Notre-Dame-de-Strasbourg Cathedral
ノートルダム=ド=ストラスブール大聖堂の天文時計。Photo: Wikimedia Commons

時計に興味のある人(そして知性を追求したい人)には幸いなことに、このコンプトゥス機構を見ることができる。それは時計の台座の左下にあるケースに展示されている。歯車の集合体のなかには、今年のエパクトと、現在の主日文字の表示があるのがおわかりいただけるだろうか。黄金比、またはゴールデンナンバーは、計算にも必要なメトン周期におけるその年の位置に対応する数字であり(図が示すように、1から19まで)、これも計算に必要である。

Strasbourg clock computus mechanism
ストラスブール大聖堂の時計コンプトゥス。Photo: Wikimedia Commons

年に1度、大晦日になるとこの仕組みが動き出す。歯車が回転し、メインカレンダーのコンプトゥスの横のリング上にある、金属製のタブの位置が変わり(語るも不思議な)、その年の正しいイースターの日付の横に収まる。

シュヴィルゲはコンプトゥスの模型も作っていたが、それは1945年に盗まれ、それ以来行方不明になっている。しかし、かつて時計の管理を担当していた会社に雇われていた時計師のフレデリック・クリンガマー(1908-2006)が、1970年代にコンプトゥスの動作モデルを構築。ストラスブール大聖堂のコンプトゥスが実際にどのように機能しているのかについて、現代的な情報の基礎となっているのはこのモデルである。

この時点で、パテックのためにイースターの日付の複雑さを設計した3人がお互いの顔を見て、“よし、みんな見て…プログラム歯車で行こう”と言った理由が理解できる。シュヴィルゲの設計に基づいて現代の加工技術を使えば、大型の腕時計や懐中時計にセットできる機械コンプトゥスを作ることは可能かもしれないが、私の予想では、LIGAやシリコン加工のようなものを駆使しても、それは無理だろうと思う(誰かが挑戦してくれるとうれしいが)。Cal.89の場合、28年使用できるプログラムディスクは妥当な妥協案のように思えるが、それをさらに28年のディスクに交換するには、おそらく単純ではない修理が必要になる。イースターの日付を計算する現在のルールを使用すると、イースターの日付の完全なサイクルは570万年に1度しか繰り返されないため、プログラムディスクは必然的に必要となる。

ブランパンからフィフティ ファゾムス誕生70周年を記念するモデルが発表された。

第3弾はヴィンテージのオリジナルモデルのなかでも特に希少なMIL-SPECモデルにオマージュを捧げたモデルだ。知る人ぞ知るリファレンスが選ばれたのには理由があった。

名は体を表すという。であるなら、ブランパンのフィフティ ファゾムスほど、自身を明確に語ったモデルはないだろう。1953年に誕生したフィフティ ファゾムスは、水深の測定単位であるファゾム(1ファゾム=1.8288mに相当)になぞらえ、50ファゾム、つまり約90mもの防水性能を有していることを意味しているのだ。

この時計の開発にはふたりの重要人物が登場する。ひとりは当時ブランパンのCEOで自身もダイビング愛好者だったジャン=ジャック・フィスターだ。あるとき南仏でのダイビング中に経過時間を間違えたことによるエア切れを体験し、ダイバーズウォッチの開発に取り組み始めた。

もうひとりはフランス軍のロベール・“ボブ”・マルビエ大尉である。コンバットダイバーと呼ばれる潜水特殊部隊の編成を進めていたフランス海軍は、海中で正確に隠密行動をするために優れた腕時計を必要としていた。しかし当時の市販品は、どれもその用途に適していなかった。

フィフティファゾムス 70 周年記念 Act 3は、水中カメラから着想を得たボックスに収められる。

そこで部隊を率いるマルビエ大尉らは、ブランパンにコンタクトをとった。ジャン=ジャック・フィスターが海を愛し、ダイビングを愛する男でもあったことを聞きつけていたからだ。海中で安心して使用できる時計の必要性を理解したフィスターは、彼らが提案した「黒いダイヤル」「読みやすい表示」「回転ベゼル」「夜光表示」に加えて、「ベゼルの逆回転防止機構」「ダブルOリングのリューズ」「自動巻きムーブメント」「耐磁性能」を加え、ついに1953年に製品化を果たした。

こうして生まれたフィフティファゾムスは、その優れたスペックで評判となり、多くの潜水士や軍人から愛された。そして海中で使用できるダイバーのための時計の必要性に気付いた多くの時計ブランドが、ブランパンの後を追った。フィフティ ファゾムスは、モダンダイバーズの原点と呼ばれているが、それは紛れもない事実なのである。

モダンダイバーズウォッチの原点であるフィフティファゾムスを生み出したブランパンだったが、70年代のクォーツ革命の波を受けて一時期は休眠状態に陥ってしまう。その後、ジャン-クロード・ビバーによって再興され、機械式時計の伝統技術に光を当てたシックスマスターピースの成功で、華々しく時計業界へと復帰を果たした。しかし当時はドレスウォッチやコンプリケーションを強化していたこともあって、フィフティ ファゾムスはほとんど日の目を見ることはなかった。

そんなブランパンがフィフティ ファゾムスに本腰を入れ始めたのは、誕生50周年となる2003年からだ。なぜならその前年にCEOに就任したマーク・A・ハイエックもまた、ダイビングを愛し、水中写真家としても活動する海の男だから。つまりフィフティ ファゾムスは、ジャン=ジャック・フィスターとマーク A. ハイエックという海を愛する男たちによって、その伝統を守ってきたともいえるだろう。

レギュラーモデルとして待望の復活を果たしたフィフティ ファゾムスは、もちろんすぐに高級時計愛好家から万雷の拍手をもって受け入れられた。1953年モデルのスタイルを継承しつつ、防水性能は300mへとスペックアップ。さらにロングパワーリザーブモデルやコンプリケーションなどさまざまなバリエーションを追加。一躍ダイバーズウォッチの主役へと舞い戻った。

2023年はフィフティ ファゾムスの誕生 7 0 周年を迎える記念の年ということで、3モデルがリリースされた。フィフティファゾムス 70周年記念Act 1は2003年の復刻モデルへのトリビュートで、フィフティファゾムス70周年記念 Act 2は、潜水能力の進化に合わせた3時間計を搭載した現代のダイバーに向けたもの。そしてこのフィフティ ファゾムス 70周年記念 Act 3は、フィフティファゾムスの歴史の始まりである軍用ダイバーズウォッチへのオマージュを捧げるモデルとなった。

1953年に誕生したフィフティ ファゾムスは、その優れた機能が評価され、各国の軍隊が制式時計として採用。その後アメリカ海軍では1950年代後半に定めたミルスペック規格に準拠させるため、ダイヤルにモイスチャーインジケーターを加えることをブランパンに要請。これは時計内部に水が浸入すると6時位置のディスクが濡れて赤く変色することで、時計が故障する危険性を着用者に知らせるものだった。フィフティファゾムス70 周年記念 Act3はこのミルスペックモデルがベースとなっている。

原点モデルのディテールが丁寧に継承されており、例えばケース径は初代と同じ41.3mm。その一方でケース素材には、9Kのブロンズゴールドという特別な素材を採用。そもそもブロンズは加工しやすいため古来からさまざまな部品製造に用いられてきた。潜水士のヘルメットもそのひとつだ。

海との関係性の深い素材であるため、近年はダイバーズウォッチに用いられることも増えているが、フィフティファゾムスでは当時からミルスペックモデルのRef.3200からRef.3246という短いシリアルレンジのなかでこの素材を使用していた。しかしAct 3では、そのままブロンズ素材を使用するのではなく、37.5%のゴールドに50%のブロンズを割り金し、さらにシルバーやパラジウム、ガリウムなどを含む9Kブロンズゴールドを用いる。その結果、ブロンズ特有の酸化による緑青が発生せず、肌への負担も少ない。さらにゴールドともブロンズとも異なる色合いに仕上がっている。

1953年にフィフティファゾムスが誕生した時代、ダイバーズウォッチは完全なるプロフェッショナルツールであり、堅牢性と機能性が尊ばれた。しかし現在のダイバーズウォッチは、海を愛する人たちに選ばれるライフスタイルツールでもある。事実ブランパンは、過去70年にわたって、さまざまな団体とパートナーシップを組みながら、海洋保全活動や海洋探査を行っており、それをブランパン オーシャン コミットメントという形で発表することにより啓発活動を続けてきた。つまりフィフティファゾムス 70周年記念 Act3は、ブランパンの海を愛する気持ちを、華やかな形で具現化した時計なのである。

1953年モデルからほとんど変わらないスタイルは、そういった気持ちが変わらない証明でもある。モダンダイバーズウォッチの原点は、外見だけでなく、その熱いハートも含めて、語り継がれる時計となっているのだ。

モーザーが成し遂げてきた最も重要な功績のひとつを支えるプラットフォームでもあるのだ。

H.モーザーの新しいストリームライナーに見覚えはないだろうか? それもそのはずで、洗練されたラインとデザインのヒントは、20年代~30年代の高速列車から得たものであり、モーザーの一体型ブレスレットの特徴として受け継がれている。しかし発売から3年を経た今、ストリームライナーのフォルムがよりスリムになり、39mmという小振りなプラットフォームをベースに絶妙に調整をし、新しい時刻表示のみの時計に生まれ変わった。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメル
最も顕著な変更点は、これまでセンターセコンドのモデルがいくつかあった新型ストリームライナーに、新たに印象的なグラン・フーエナメル文字盤を採用したことだ。“アクアブルー”と名付けられたこの色は、泡立つ深いブルーの水面のような色合いをしており、オンブレ効果を得るべく3つの顔料を12回焼成しているという。最近のH.モーザーのいくつかのリリースのように、ダイヤルにサインはない。(ブランドCEOである)エドゥアルド・メイラン(Edouard Meylan)氏はかつて、文字盤の名前ではなく、時計そのものがブランドの品質を示すのに必要な古い懐中時計を見て、このアイデアを思いついたのだと私に語ったことがある。しかし、このブランドの最近のグラン・フーダイヤルとは異なり、このダイヤルは6時位置にオフセットされたスモールセコンドが、サーキュラーパターンを持つラッカー仕上げのインダイヤルに配されている。

ただ、これが最も重要な変更ではないかもしれない。というのも新しいCal.HMC 500を採用したことで、時計の直径が1mm、厚さが0.9mmと、わずかに小さくなったのだ。この新しい100%自社製マイクロロータームーブメントのサイズは30mm径×4.5mm厚と、21世紀に入ってからのブランド最小ムーブメントとなった。重量感のあるプラチナ製ローターと、より小振りでスリムなコンポーネントを実現した同ムーブメントは、約74時間のパワーリザーブを確保している。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメルに搭載されたCal.HMC 500
ムーブメントのサイズを小さくしたことで、ケースラインがより細長く、洗練されたものになった。オリジナルのストリームライナー・スモールセコンドが発売当時2万1900ドル(日本円で約330万円)だったのに対し、新作は534万6000円(税込予価)と大幅な値上げになったが、最終的にこのブランドを購入する理由を探していた潜在的なH.モーザーファンにとっては、文字盤と新しいムーブメントにそれだけの価値があるかもしれない。

我々の考え
すべてのカードを切った最後、H.モーザーは小さなストリームライナーの新作を発表すると言ったとき、私はかなりわくわくした。この時計は、市場で大流行し続けているブレスレット一体型のスポーツウォッチに代わる、斬新な選択肢を提供してくれるからだ。しかし、洗練されたフォルムと興味深いブレスレットのデザインにもかかわらず、私の好みには少し大仰すぎて、手首にも少し大きいと感じていた。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメルのダイヤル
直径や厚さを1mm変えるだけで世界が変わるとは言わない。どの時計においても、その1mmが“大きすぎるよ、ちょっと待って”、という瞬間になることはあまりないのだ。しかしこの場合、グラン・フーエナメルがどれほど印象的であろうと、この1mmがそれ以上の効果をもたらし、文字盤よりもストリームライナー自体のほうがはるかに優れている強く主張できる。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメルのダイヤル
グラン・フーは本当に素晴らしいけどね。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメルの製造過程

ブランドの観点から見ると、サイズはモーザーにとって制限される要因であり、それの限界はほぼムーブメントにのみかかっていた。以前エドゥアルド・メイラン氏は、長いあいだ、より小さなムーブメントを推し進めてきたと語っていた。そしてH.モーザーが、最初から最後まで小規模なマニュファクチュール(コンプリケーションを含む)で成し遂げたことは素晴らしいことだったが、なかでも今回の新しいHMC 500は、これまでで最も重要な成果のひとつかもしれない。また、将来的には徐々に小さなムーブメントも製造できるようになるという可能性も秘めている。

H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメル
ムーブメントを小さくすることで、モーザーは時計のラインを洗練させるのに十分なだけのケースシェイプを削ることができ、それはすぐに改善された。ケースの側面は上から下へ、ダイヤルからベゼルへと滑らかで、ケースとブレスレットの境界もシームレスなものになっている。厚さ8.1mmという夢のストリームライナーほどではないが、そのレベルに達しつつある。

H. Moser Streamliner
ムーブメントのデザインだけでなく、仕上げも素晴らしい。私はモーザーのアンスラサイトのトーンと、それがほかのムーブメントの部分とどのように調和しているか見るのが大好きで、内角とスケルトナイズはムーブメントに対する自身の評価を高めている。

H.モーザー Cal.HMC 500
H.モーザー ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメルのマイクロローター
奇妙なことに、私が最も迷っているのはグラン・フーのフュメダイヤルである。誤解のないように言っておくが、色も質感も仕上がりも美しいと感じる。スモールセコンドの腕時計も普段は好きだ。しかし、グラン・フーエナメルは純粋で途切れることのないフォルムがいい。スモールセコンドのインダイヤルが独立しているのは、実物だと写真ほど気にならなかったが、スモールセコンドを完全に排除して文字盤だけ独立させる選択肢も見てみたかった。

そして、みんなも感じるかもしれないが、私が抱く最後の疑問は買い手が価格にどう反応するかである。新しいムーブメントとエナメル文字盤の芸術性がもたらす、潜在的な価値は理解できる。しかし3万ドルを超えたことで、ストリームライナーは新たな価格帯となり、厳しい競争にさらされることになった。私見ではあるが、仕上げは素晴らしいものの、それを理由に価格をつけることは、それを考慮しない多くの消費者にとって、メインとなるデザインに魅力を持つかもしれない時計が売りにくいものだといつも感じている。

現在のストリームライナーは、ロイヤル オークやノーチラスのような一般的に入手困難な腕時計に代わる、より手頃で独立した代替品という位置づけではなく、(ロイヤル オークの)16202の価格と拮抗している。また、それと同じくらい入手困難になっており、何人かの読者が“スモークサーモン”ダイヤルを入手するのを手伝ってほしいと、Instagramにメッセージを送ってきたこともある(念のために言っておくが、私には何の力もない)。

ただこのような場合、私はブランドをある程度尊重する。彼らは調査をして市場を知っているから、おそらく彼らが満たすことができるよりもはるかに多くの要求を受けると思う。この時計にはそれだけの価値があるのだ。

基本情報
ブランド: H.モーザー(H. Moser & Cie.)
モデル名: ストリームライナー・スモールセコンド ブルーエナメル(Streamliner Small Seconds Blue Enamel)
型番: 6500-1200

直径: 39mm
厚さ: 10.9mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 槌目仕上げのアクアブルー グラン・フーフュメエナメル、ラッカー仕上げと円形模様が施されたインダイヤル
インデックス: アプライド
夜光: あり、グロボライト® インサート付き時・分針
防水性能: 120m
ストラップ/ブレスレット: 一体型スティール製ブレスレット

シャネル ムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライト。

この時計の魅力を語る言葉は数多くあるだろう。だが、そうした言葉が無意味に感じられるほどの美しさが、この時計の魅力を雄弁に語る。

シャネルでは、毎年異なるテーマで展開される限定カプセルコレクションをリリースしているが、2023年はサイエンスフィクション、宇宙旅行やタイムトラベルの世界観に着想を得たウォッチコレクションとして、シャネル インターステラー カプセルコレクションを発表した。J12、プルミエール、ボーイフレンドといったシャネルのアイコンウォッチをベースにさまざまなスタイルのユニークな限定モデルが登場したほか、自社製ムーブメントを搭載したオートオルロジュリーコレクションにおいても宇宙を想起させるユニークなモデルが製作された。ムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライトもそのひとつだ。

時計のメディアで仕事をしていると、トゥールビヨンウォッチを見る機会というのは少なからずある(とはいえ、身近な時計とは言いがたいが…)。その際に抱く感想は多くの場合、“よくこんなに精密なものを組み上げられたなぁ”とか、“どうやってこれだけ複雑なものが動いているのだろう”など、その機構のスゴさに関するものがほとんどだ。そうした感想に先立って、トゥールビヨンの時計を見て思わず見惚れてしまったという経験は、この時計をおいてほかにはない。

筆者の心を奪ったムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライト。モデル名にもあるとおり、最大の特徴はメテオライト(隕石)ダイヤルを採用しているところにある。シャネル曰く、このメテオライトダイヤルを製作するために、さまざまな段階を通じて特別なノウハウを必要としたようだ。

スウェーデン由来のこのメテオライトは、まず塊から切り出され、研磨・洗浄されたのち、表面の凹凸を生かすために酸で洗われる。その後、地板に直接取り付けられるようにメテオライトにはスケルトン加工が施されるが、それはメテオライトのプレートを輪列の形に合わせてカットして、その仕組みを明らかにするようにデザインされており、極めて繊細な作業が必要になる。カットされたメテオライトは、亜鉛メッキ加工により色が濃くなったステンレススティール製プレート(同じく輪列の形に合わせてスケルトナイズされている)と組み合わされているが、これもメテオライト同様に同じ凹凸をもつ素材はふたつと存在せず、唯一無二のものだ。

ムーブメントには、シャネルのマニュファクチュールによって設計・組み立てされたフライングトゥールビヨンムーブメント、Cal. 5.1を採用。1分間で1回転するトゥールビヨンキャリッジは78個の部品で構成されている。このキャリバーは昨年発表されたCal.5をベースとしたもので、Cal.5ではフライングトゥールビヨンの中央に0.18ctの大きなダイヤモンドがセットされていたが、Cal. 5.1ではダイヤモンドに代わって自社製ムーブメントの象徴であるライオンの頭部モチーフがあしらわれた。

言ってしまえば、既存のCal.5のダイヤモンドをチタン製のライオンの頭部モチーフに変更したものだが、その内実は言葉どおりの簡単なものではない。当然ながらそれぞれで素材も形も異なり、トゥールビヨンキャリッジのバランスを取るための設計も異なるからだ。立体的なライオンの頭部は、このムーブメントのために特別に開発されたもの。レーザーで彫刻されるそれは比較的軽量なチタン素材とはいえ、このトゥールビヨンキャリッジが支えられるスペースと重量からすると、開発チームにとっては大きなチャレンジとなったようで、完成までに数年を要したという事実がその困難さを物語っている。

ムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライトを手に取って特に感心したのは、トゥールビヨンウォッチでありながらも、その機構に固執することなく、あくまでもシャネルらしいスタイルを追求しているところだ。というのも、これまでに見てきたさまざまなトゥールビヨンウォッチのなかには、見栄えや技術的なアピールに終始していて、見た目こそ独創的ではあるものの日常的につけてみたいとは思えないものが少なくなかったからだ。

この時計はトゥールビヨンであることをことさらアピールはしてはいない。真円のなかに円を描くというムッシュー ドゥ シャネルのデザインコードを守りつつ、オープンワークスタイルのメテオライト文字盤というユニークな外観に自然とトゥールビヨンの存在がなじんでいる。また、ライオンモチーフがあしらわれたSS製3重折り畳み式バックルはシャネルおなじみのバネ式。爪を痛めずに開閉できる構造で扱いやすい。ユニークではあるが、しっかりと日常的につけることが考えられているように感じられた。

もちろん、見栄えや技術的なアピールに終始した時計があってもいいと思うし、欲を言えば、この時計においても不満に思う点がないわけではない。アワーインデックスがあったほうが時刻が読み取りやすいと思うし、23〜37分にかけてはミニッツインデックスが欠けているため、正確な分表示がわからないという点は個人的な好みからすると気になる点ではある。

だが、この時計を手に取って考えさせられたのは、現代において日常的に手に取りたいと思う時計は何かを考えたとき、視認性やつけ心地といった実用的な側面はもちろんが大切だが、時計を見て直感的に心を動かれるかどうかということは、それ以上に大切なことではないか? ということだった。そして、それこそがこの時計に込められた最大のメッセージなのだと思うに至った。

このムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライトの魅力を語る言葉はたくさんある。だが、そうした言葉を飛び越えて、直感的に美しいと感じさせる魅力が確かに感じられるのだ。そういうものに出合える機会というのは、長年たくさんの時計を見ていてもそう多くはない。個人的には、過去に登場したシャネルのトゥールビヨンウォッチのなかでもっとも心引かれるものとなった。シャネルのウォッチメイキング全般を取り仕切るアルノー・シャスタン氏は、以前のインタビューのなかで、シャネルのプロダクトは装飾品として美しいかどうかが一番大切なことなのだと語っていた。ムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライトは、まさにシャネルならではのトゥールビヨンウォッチなのだ。

基本情報
ブランド: シャネル(Chanel)
モデル名: ムッシュー ドゥ シャネル トゥールビヨン メテオライト(Monsieur de Chanel Tourbillon Meteorite)
型番: H7956

直径: 42mm
ケース素材: 高耐性マットブラックセラミック×ステンレススティール
文字盤: オープンワークのメテオライト
インデックス: 60分刻みの目盛り入りアプライドリング
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックカーフのトリミングとライニングを施したブラックナイロンストラップにSS製3重折り畳み式バックル

ムーブメント情報
キャリバー: 5.1(自社製)
機能: 時・分表示、フライングトゥールビヨン
厚さ: 5.9mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 28

価格 & 発売時期
価格: 1705万円(税込) ※価格は公開日時点のもの。
限定: 世界55本限定。

ブライトリングからスーパーオーシャン ヘリテージ ’57 ハイランズ カプセルコレクションが登場した。

同社が1950年代に発売したダイバーズウォッチのトリビュートとしてリリースしたスーパーオーシャン ヘリテージ ’57のスタイルをベースとしたモデルで、本コレクションではスコットランド・ハイランド地方のトレッキングからヒントを得たアースカラーとシックなツイード素材のストラップが特徴となっている。

スーパーオーシャンはもともと、優れた防水性能と日常での使い勝手を兼ね備え、機能性や信頼性を求めるダイバーはもちろんのこと、サーファーやビーチサイドでも自分のスタイルを楽しみたいというカジュアルなユーザー層を狙ったダイバーズウォッチとして設計された時計だった。そのコンセプトは本コレクションでも大きくは変わらないものの、ハイランズ カプセルコレクションは海辺は海辺でも、スコットランド・ハイランド地方の岩礁海岸と霧に覆われた峰々をイメージソースとしている。

コレクションのなかでも、最もスコットランドをほうふつとさせるディテールが、スコットランド伝統の生地をイメージしたウールとシルクのブレンドによるツイード風のファブリックストラップだ。時計はすべてステンレススティールのメッシュブレスレットを付けた状態がベーシックだが、ツイード風のファブリックストラップは別添えのポーチに入れられ、簡単に付け換えられるようにバネ棒外しも付属する。陸と海をイメージしたブルー、グリーン、マスタード、ベージュの4つの鮮やかなダイヤルカラーが用意され、ブルーダイヤルにはダークブラウン、ベージュダイヤルにはブラウン、グリーンとマスタードのダイヤルにはグリーンカラーのストラップを組み合わせ、それぞれ繊細なパターンとツイードのテクスチャーがカラーダイヤルを引き立てる。なお、ほかの組み合わせも楽しみたいという方のために、別途ブルーのツイード風のファブリックストラップを追加で購入することも可能だという。

ケースはSS製、ベゼルは傷がつきにくく耐衝撃性に優れたセラミック製で18Kレッドゴールドで縁取られている。スーパーオーシャンのオリジナルにちなんで、逆回転防止式ではなく両方向回転ベゼルを採用。ドットには夜光塗料が塗布されている。ムーブメントには約42時間パワーリザーブ(全巻き上げ時)のブライトリング キャリバー10を搭載。ほかのブライトリングの腕時計と同様、もちろんCOSC(スイス公認クロノメーター検定協会)認定クロノメーター仕様である。ハイランズ カプセルコレクションはすでに販売を開始しており、価格はすべて86万3500円(税込)だ。

ファースト・インプレッション
現代におけるダイバーズウォッチは、ダイビングで使用するという本来の目的は薄れているものの、雨などを気にせずつけられる実用時計としての需要は非常に高い。とはいえ、やはりその出自ゆえにケース径や厚みのある時計が多く、つけたいとは思っていても自分の腕に合うモデルがなかなか見つからないという声はよく聞かれる。だが、このスーパーオーシャン ヘリテージ ’57 ハイランズ コレクションなら、そんな悩みをお持ちの人であっても満足できるのではないかと思っている。

これは2020年に同じくカプセルコレクションとしてリリースされたスーパーオーシャン ヘリテージ ’57から連なる時計だ。だがより厳密にいうと、2021年に発売されたパステル パラダイスコレクションが直接的なベースとなっており、そのケースサイズは38mm径と40mmを切る小振りサイズなのだ。径が小さいだけではなく、15mm前後が当たり前のダイバーズウォッチらしからぬ9.3mmという薄型設計で、ラグトゥラグは42mm。しかもラグは腕に沿うようなカーブした形状をしている。

ブランドの公式ビジュアルでは女性がつけているため、レディスモデルと思われるかもしれないが、決して女性向けとしてリリースされているわけではないので、サイズさえマッチすれば男性がつけてもまったく問題はない。ちょうど発売された2021年に公開した記事「個人的好みから選んだお気に入りのダイバーズウォッチ9選」のなかで筆者も38mm径のスーパ ーオーシャン ヘリテージ ’57を実際に着用しているので、そのつけ心地のよさは自信を持っておすすめできる。また、パステルカラーを特徴としたパステル パラダイスコレクションと比較すると色味もはっきりとしているので、よりジェンダーレスにつけられるのではないだろうか。

ブライトリングのジョージ・カーンCEOはこの特別なコレクションの発売に際して、プレスリリースのなかで次のようなコメントを寄せている。

「ブライトリングのカプセルコレクションには、そのすべてにそれぞれのストーリーがあります。スーパーオーシャン ヘリテージ ’57 ハイランズ コレクションでは、スコットランド高地を歩いているような特別な感覚を呼び起こしたいと思ったのです。ツイードジャケットとウールのセーターを着て出発する瞬間から、風が吹きすさぶ崖を歩く1日、無事に帰って愛犬を隣にパチパチとはじける火で暖を取るまで。ハイランズ コレクションは、あらゆるシーンに寄り添えるように設計されています」

ブライトリングのカプセルコレクションは、ダイバーズウォッチだからこうでなくてはならない、というような文脈では作られていない。ダイバーズウォッチだからといって、海でつけなくても、夏につけなくたっていいのだ。「プロフェッショナルのため計器=ブライトリング」を全面に押し出していた(今もそういったイメージが失われているわけではない)かつてのブライトリングからすると、非常に時計づくりの自由度が増しているようだ。先日、ブライトリングのオーナーグループであるパートナーズグループが、ユニバーサル・ジュネーブの買収を発表したが、もしかしたら今後、“マイクローター(ユニバーサル・ジュネーブではマイクロローターをこう呼ぶのだ)”を搭載したスーパーオーシャン ヘリテージ ’57が登場するなんてことも夢ではないかもしれない。

さて、現実に戻ってムーブメントに関してはどうしても言っておきたいことがあるので、付け加えておこう。本コレクションが搭載するムーブメントはCOSC認定のクロノメーター仕様とはいえ、約42時間パワーリザーブ(全巻き上げ時)しかない。いまや70時間前後、約3日巻きが主流になりつつあるなかではどうしても物足りなさを感じる。もしこの時計に3日巻きのムーブメントが搭載されていたら…。筆者が欲しい理想のダイバーズウォッチ候補となったかもしれない。

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基本情報
ブランド: ブライトリング(Breitling)
モデル名: スーパーオーシャン ヘリテージ ’57 ハイランズ カプセルコレクション(Superocean Heritage ’57 Highlands Capsule Collection)
型番: U10340161C1A1(ブルー)、U10340361L1A1(グリーン)、U10340281I1A1(マスタード)、U10340E31A1A1(ベージュ)

直径: 38mm(ラグトゥラグは42mm)
厚さ: 9.3mm
重さ: 110.5g(ブレスレットの場合)
ケース素材: 18Kレッドゴールドベゼル&ステンレススティール
文字盤色: ブルー、グリーン、マスタード、ベージュ
インデックス: くさび型のアプライド、3・6・9・12時位置はドット+くさび型のアプライド
夜光: 時・分・秒針にスーパールミノバ®夜光
防水性能: 10気圧(100m)
ストラップ/ブレスレット: オーシャンクラシックSS製ブレスレット、バタフライクラスプ式。ブルーには差し色がダークブラウン、ベージュには差し色がクラシックブラウン、そしてグリーンバージョンとマスタードバージョンには差し色がグリーンのファブリックストラップが付属。

ムーブメント情報
キャリバー: ブライトリング 10
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 25.6mm
厚さ: 3.6mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/ 時
クロノメーター認定: COSC
追加情報: ボールベアリングによる両方向回転式

価格 & 発売時期
価格: 86万3500円(税込)