ビギナーのためのGMTベゼル使い方ガイド。

トラベルウォッチマニアのひとりとして、2都市(またはそれ以上)の時刻を表示する時計の基本概念のなかに存在する、無数の組み合わせにこだわらずにはいられない。またトラベルウォッチの機能をフルに活用する方法を知らない人と頻繁にすれ違う日常にも驚いている。予想どおり、これはトラベルウォッチの最も一般的な形式であるGMTでよく起こることだ。

rolex gmt-master
 ロレックス GMTマスターとGMTマスターIIで広く普及したスタンダードなGMTにはいくつかの種類があるが、基本的な機能は、24時間針と24時間表示の回転ベゼルの両方が装備されていること。使用されるムーブメントは、フライヤー(ローカルジャンピングアワー)またはコーラー(独立した24時間針)だが、第2タイムゾーンを追跡する機能は第2タイムゾーン用の24時間針に起因し、さらに多くのことを行うには24時間ベゼルを回転させることでその機能を体感できる。

 次のガイドは還元的であると同時に、知識をひけらかしたようなものに感じられるだろうか? 僕のことを信じたほうがいい。次にGMTの第2タイムゾーンを変更しなければならないとき、これを読んでおけば、リューズに触れたり針を動かしたりすることなく時刻を知ることができるため、僕に感謝することになるかもしれないのだから。

rolex explorer II
ロレックス エクスプローラーIIは、固定ベゼルのデュアルタイムウォッチという一例である。

 GMTを使っている人を見ると、ほとんどの場合は伝統的な“デュアルタイム”ウォッチのように設定されている。メインの針には現地時間が表示され、24時間針はベゼルのデフォルト位置(下図で示しているが、ゼロアワーとは理論上、文字盤の12時位置だ)を読むことで第2タイムゾーンの時刻を表示している。これはこれでいいし、ロレックス エクスプローラーIIのような固定ベゼルの“GMT”(実際にはデュアルタイムウォッチ)に備わっている機能でもあるが、24時間GMTの能力をすべて活用できるわけではない。最大限活用するには回転ベゼルを使う必要があるのだ。

the hodinkee mido LE watch showing two time zones
写真のミドー オーシャンスター GMT LEは、回転式24時間ベゼルを使用しない、標準的なデュアルタイムレイアウトの状態だ。

タイムゾーンの変更にはUTC/GMTオフセットを使用する
 GMT、特にロレックス GMTマスターIIのようなフライヤーGMTや、HODINKEEが最近コラボレートして製造した2本のGMT(ひとつはロンジン、もうひとつはミドー)を使用する場合、僕は24時間のGMT針をUTC 0にセットし、ベゼルを使用して表示しているタイムゾーンのUTCオフセット(編註;特定の時刻ゾーンとUTCのあいだの時間と分の差)を使い、特定の第2タイムゾーンに“ジャンプ”することを好む。厳密にはローカルタイム、UTC 0、ベゼルによって設定されているタイムゾーンがあるため、3つのタイムゾーンが1本の時計に集約されることになる。画像で説明しよう。

map of the standard timezones
標準時UTCタイムゾーンの地図(UnaitxuGV、Heitordpなど、パブリックドメインはWikimedia Commons経由)。

 まず“協定世界時(Coordinated Universal Time)”の略語であるUTCについて、ある程度理解しておく必要がある(これは米軍を含む一部軍組織においては、ZULUタイムとしても知られている)。よく旅行をしたり、ほかのタイムゾーンに住む人と多く交流していれば、GMT(グリニッジ標準時)の概念をより現代的にしたUTC 0という中央タイムゾーンがあることをご存じだろう(東に行けばUTC +1、+2など数値が上がり、西に行けばUTC-1、-2など下がっていく)。UTCの開発については、CUTと略されない理由も含めてこちらを参照してほしいが、簡単に言うとUTCは1967年から存在し、原子時計のように精度を高めるべくGMTをアップデートしたものである。

 GMTと同様に、UTC 0は本初子午線と一致し、経度線のように0から外側に向かって拡大する24のフルタイムタイムゾーンが広がっている。つまりロンドンはUTC -0、ニューヨークはUTC -5、ジュネーブはUTC +1、ドバイはUTC +4、東京はUTC +9である。24時間の“GMT”針をUTC -0にセットすれば、GMTウォッチのベゼルをUTCオフセット(特定の空港や都市、または既知のタイムゾーンの場合)の数だけ回転させることができる。

longines GMT showing UTC time
時針でトロントの現地時間(10:00)を示す“ロンジン スピリット Zulu Time LE”。GMT針はUTC 0(15:00)にセットし、ベゼルはジュネーブのUTC +1を考慮して1時間分回転している。

 ホームタイムゾーンがUTC -5(僕はカナダのトロントに住んでいる)で、ジュネーブの時刻を知りたいと仮定してみよう。トロント(ローカル)が10:00の場合、UTC 0は15:00(+5時間)になる。そこで、ベゼルはホームポジションのまま、GMTの24時間針を15:00にセットした。次に、ジュネーブの時刻を表示するために、24時間ベゼルを回転させてUTCオフセットを正午の位置に表示する。上の画像でも説明しているが、もっと簡単に言うと、ジュネーブがUTC +1(16:00)なら、GMTベゼルの12時位置(ゼロアワーのポジション)に“1”と表示することで、24時間針とベゼルを使ってジュネーブの時刻を知ることが可能だ。

longines GMT showing time in Toronto and tokyo
このロンジン スピリット Zulu Time LEでは、時針でトロントの現地時間(10:00)を表示し、GMT針はUTC 0(15:00)に設定し、ベゼルは東京のUTC +9を考慮して回転している。

 現在、24時間針はUTC 0(15:00)に設定されているため、東京の時刻を表示したい場合は、ベゼルを回して12時の位置に“9”を合わせるだけだ。ベゼルには東京の24時間の時刻(0:00)が表示されるようになり、リューズを操作したり針を動かしたりと、時計の時刻を調整する必要がなくなる。繰り返しになるが、すべては24時間針をUTC 0に設定することにかかっており、この具体的なシナリオは上の図で説明している。

Mido GMT showing geneva local time, toronto away time
このミドー オーシャンスター GMT LEでは、時針でジュネーブの現地時間(16:00)を表示し、GMT針はUTC 0(15:00)にセットし、ベゼルはトロントのUTC-5(24-5=19)を考慮して、12時位置に19が来るように回転させている。

 おまけに、この記事で紹介したロンジンやミドーのようなフライヤーGMTを使えば、新しいタイムゾーンに移動しても、24時間針の位置を変えずに現地時間の更新ができる。そのため、僕がジュネーブに旅行する場合は、着陸し、メインの時針を+6時間ジャンプさせてスイスの時刻(16:00)を表示し、ベゼルを回転して正午の位置に“19”を配置する(19はUTC 0のトロントの-5時間のオフセットを24時間から差し引いたもの)。1本の針を動かすだけでローカルタイム(16:00)とホームタイム(10:00)が表示された。簡単に言うと、これはかなり便利な機能だ(上図)。

 ジェットセッターの多くはこの機能を知っていると思うが、このガイドはアクティブに旅行している人や、単にほかのタイムゾーンを追跡する必要がある人など、GMTを最大限に活用したいという人の役にも立つかもしれない。最後に、GMT機能を搭載した新しい時計、特にフライヤー機能のモデルを探しているなら、この記事で紹介したミドーとロンジンの限定モデル(シリアルナンバー入り)は、いずれもHODINKEE Shopで購入可能だ。

フラテッロウォッチの優秀なスタッフらが、今までで一番手頃な価格の最新限定モデルをリリースした。

このコラボレーションのために、このオランダ発のメディアはRZEと協力して、冒険のためにデザインされたツールウォッチ、RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥールを製作したのだ。

2020年に設立されたRZEは、チタン製のツールウォッチで知られるブランドで、この度フラテッロと協力して冒険に適した時計をデザインした。RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアは、40mm径×10.5mm厚(ラグからラグまで46mm)のグレード2チタンケースを採用。この実測値には、ARコーティングを施したフラットな風防も含まれている。ラグは少し下へと傾斜しており、ストラップの交換を容易にするための穴が設けられている(素晴らしいディテールだ)。さらにレゾリュート プロ コントゥアのチタンブレスレットには、工具不要のマイクロアジャスト機能も搭載している。

文字盤はカーボン製だが、そこにスティールパウダーを注入することで、地形図のようなクールなパターンを作り出した。このコンセプトは、エングレービングが施された裏蓋ともマッチしている。

内部にはミヨタ90S5ムーブメントを搭載。有名な日本の自動巻きムーブメントであり、約42時間パワーリザーブ、2万8800振動/時、ハック機能を備えている。

RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアの予約注文は、フラテッロの公式サイトにて3月14日(木)の午前10時(アメリカ東部時間)から1週間だけ開始される。なおメーカー希望小売価格は679ユーロ(日本円で約11万円)で、予約注文時には日本円に自動換算される。

愛好家向けのフレンドリーなメディアが提供する、1000ドル(日本円で約14万7000円)以下の冒険心くすぐるツールウォッチを気にいらない人はいるだろうか? この時計について、私たちが気に入っている点を挙げよう。まずサイズ感がちょうどよく、装着しやすいチタン製ケース、穴の開いたラグ、ソリッドバック、コンポジットカーボン文字盤、工具不要のマイクロアジャスト機能…もっと言いたいことはあるが、要点はわかってもらえただろう。これはマニアが求め、愛してやまない意匠のすべてを、新進ブランドとのコラボレーションにより、手頃な価格でミヨタ製パッケージに収めたものなのだ。

カーボンダイヤル全体にSSの斑点を散りばめることで、競合モデルやRZEのほかのカタログとは一線を画し、コントゥアに真の特徴を与えている。

これは限定モデルだが、予約受付は3月14日から1週間の猶予があるため、フラテッロに駆け込んでRZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアを手に入れる時間は十分にあるだろう。

基本情報
ブランド: RZE×フラテッロ(RZE×Fratello)
モデル名: レゾリュート プロ コントゥア(Resolute Pro “Contour”)
型番: 1021

直径: 40mm
厚さ: 10.5mm(風防込み)
ラグからラグまで: 46mm
ケース素材: グレード2チタン(ウルトラヘックスコーティング)
文字盤: スティールパウダー入りカーボンファイバーコンポジット
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタンブレスレット、工具不要のマイクロアジャスト機能

rze fratello watches contour limited edition
ムーブメント情報
キャリバー: ミヨタ 90S5
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 26mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻き付き)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24

価格 & 発売時期
価格: 679ユーロ(日本円で約11万円)
発売時期: 3月14日(木)から3月21日(木)まで予約受付。フラテッロによると、予約受付開始から4カ月以内にすべての時計をデリバリーする予定とのこと
限定: 1週間だけの先行予約

ブルガリが魅力的なサーモンとスティールの色合いで、

ブルガリのオクト フィニッシモは、ローマ建築から着想を得たデザインを取り入れた超薄型ケースに現代的な素材に見事に融合させて誕生したコレクションです。2014年の登場以来、3針からトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダーまで、さまざまな複雑機構を備えた極薄のムーブメントを展開し、数々の世界記録を打ち立てて、賞を受賞してきました。

当初はサンドブラスト仕上げが施されたケースにトーンオントーンのダイヤルが組み合わさったものでしたが、やがてスティールやゴールド、時にはタンタルといった素材がケースに取り入れられ、ダイヤルにも新たなカラーやデザインバリエーションが与えられるようになり、誕生から約10年で成熟したコレクションへと成長しました。

同コレクションのなかで最もシンプルなモデルが、2017年に発売された3針のオクト フィニッシモ オートマティックです。ケースの厚さはわずか5.15mmで、リリースされた当時の最薄自動巻き時計で、ブルガリが3つめの世界最薄記録を獲得したモデルとして話題を集めました。2020年にはスティール製ケースを備えたオクト フィニッシモ オートマティック Sを発表。同じ直径40mmですが、厚さが6.3mmとなり、100mの防水性能が確保されたことでより日常使いしやすいパッケージになりました。

ここで紹介するオクト フィニッシモ タスカンコッパーは、シンプルに言えばオクト フィニッシモ オートマティック Sのカラーバリエーションモデルです。実は2023年に北米限定50本で発表されたリファレンスと同じものですが、今回のリリースで通常ラインナップに加わることになりました。

オクト フィニッシモ タスカンコッパーの最も重要な要素であるダイヤルカラーは、時計業界ではいわゆるサーモンダイヤルと呼ばれるものですが、ややピンク色が強く、控えめながらも独特な雰囲気を備えています。デザインを手掛けたブルガリ ウォッチ デザイン センター シニア・ディレクターのファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏は、同モデルについてこう話します。「このメタリックサーモンの色合いは、一般的に見られるコレクターが好むヴィンテージの美学から来たものではありません。イタリア美術のルーツである16世紀、正確にはマニエリスムと呼ばれる当時の改革的な運動からインスピレーションを得たものです」

マニエリスムは、16世紀中頃から末にかけて見られる後期イタリア・ルネサンスの美術様式を指します。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ボッティチェッリといったイタリアの盛期ルネサンスの巨匠たちが作り上げた完成された洋式に倣いつつも、わざと極端な比率に引き伸ばされた人体やS字曲線を描いたねじれたポーズ、不安定な構図、フラットな遠近法や空間表現が取り入れられた絵画が特徴です。

僕は本作のプレスリリースのなかでマニエリスムからの影響であると読んだときにフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂につながりがあるのではないかと考えました。なぜならマニエリスムを提唱したミケランジェロの弟子ジョルジョ・ヴァザーリが大聖堂内部のフレスコ画を描いていたからです。もちろんオクト フィニッシモの形状がローマのマクセンティウスのバシリカから着想を得たものであることは知っていましたが、フレスコ画が描かれた大聖堂の天井も八角形で、外から見た屋根の赤褐色もこのダイヤルに近いものがあるように感じました。

ファブリツィオ氏に伺ってみるとヴァザーリではなく異なる作品であると伝えられました。「いい推測ですね。でも私の直接的なインスピレーション源となったのはヤコポ・ダ・ポントルモの絵画『十字架降下』です。デザイン学校2年生のときに授業でマニエリスムについて学んだ際に習ったのがこの作品でした」。なるほど、確かに時計愛好家たちがサーモンダイヤルと呼ぶローズゴールド色よりもピンクが強い色合いなのも頷けます。

スイスのウォッチメイキングにおいてサーモンダイヤルは定番のカラーのひとつですが、タスカンコッパーのダイヤルはメタリックトーンでありながら、艶消しの質感があるユニークなもので、光を受けると深みのあるアニメーション効果が見られます。ロジウムメッキの針とインデックスとの組み合わせによって美しいコントラストが生まれ、視認性も良好です。クラシックなドレスウォッチやヴィンテージスタイルの時計に見られるカラーをブルガリらしいやり方でスティールのオクト フィニッシモ オートマティックのケースにマッチさせているのです。

オクト フィニッシモは、何度も身につけたことがありますが、ダイヤルカラーが異なるだけでも大きく印象を変える不思議な感覚があります。多面的かつ立体的なケース構造ながらその薄さによる控えめなデザインが異なるカラーや意匠をより大きな違いのように感じさせるのかもしれません。当初は北米限定としてリリースされたモデルでしたが、着けてみると日本人の肌なじみのよいカラーリングのように思いました。

個人的にブルガリのオクト フィニッシモは先述のとおり成熟したコレクションであり、完成されたものであると捉えています。だからこそ建築家の安藤忠雄 氏や現代美術家の宮島達男氏らとのコラボレーションや、先日発表されたばかりのオクト フィニッシモ スケッチ 限定モデルのような前衛的なデザインとの組み合わせでもまったく破綻しないのだと感じます。タスカンコッパーは、カラーバリエーションといえばそれまでかもしれませんが、ファブリツィオ氏が選択したマニエリスムから汲み取ると完成されたコレクションにより改革的なアプローチを与え続けようとする動きなのだと言えるのではないでしょうか。

ブルガリ オクト フィニッシモ タスカンコッパー Ref.103856。直径40mm×厚さ6.4mm、ステンレススティール製ケース、100m防水。サンレイ加工タスカンカッパーメタルダイヤル、ロジウムプレートの針とアワーマーカー。ムーブメントはCal.BVL138搭載。自動巻き、パワーリザーブ約60時間、2万1600振/時、時・分、スモールセコンド。211万2000円(税込)

ゼニス デファイ スカイライン クロノグラフが新登場。

ゼニス デファイ スカイラインシリーズはますますラインナップを充実させているが、ある重要な複雑機構が欠けていた。その欠けたピースが、いま揃ったようだ。

ゼニスのデファイ スカイライン クロノグラフは、クロノグラフを注力してきた同ブランドの系譜と、現行のオールマイティーモデルとを効果的に融合させた新作となった。

先日、直径45mmのデファイ エクストリーム(いくつかの派生モデルを含む)を紹介したが、今回のリリースはやや過激さを抑えており、発表された3つのリファレンス(ブラック、ブルー、シルバー)すべてに42mmのスティールケースが採用されている。ケースの厚みやラグからラグまでの全長は公表されていないが、3万6000振動/時(5Hz)で駆動するこれらの新作クロノグラフは100m防水、ねじ込み式リューズ、スティール製ブレスレットとラバーストラップの両方が付属する(いずれもクイックチェンジ対応)。

依然として人気の高いブレスレット一体型スポーツウォッチのデザイン言語を踏襲するデファイ スカイライン クロノグラフは、ゼニスの自動巻きクロノグラフムーブメント、エル・プリメロ3600を採用。3万6000振動/時で動作し、10分の1秒までの表示(センターセコンド針による)を備えている。また、4時30分位置にはデイト表示も搭載した。ダイヤルをよく観察すれば(エル・プリメロ3600を知らない人は、なおさら注意深く眺めることになる)、クロノグラフスタート後、センターセコンド針が10秒ごとに1回転するのがわかる。ダイヤル上に60分積算計らしきものが追加されているのは、それが理由だ。このムーブメントは、インダイヤルとしてスモールセコンド(時刻用)、60秒計、60分積算計を備えている。

定価は176万円(税込)、3色からお好みの色が選択可能だ。

我々の考え
はっきり言って、僕はこの時計がすでに存在しているものと思い込んでいた。ゼニスがエル・プリメロを搭載した時計を発表するチャンスを今まで逃していたとは思えないからだ。むしろこれは非常にゼニスらしい時計であり、デファイ スカイラインのラインナップにおいて極めて自然なリリースであることは明白だ。

デファイ スカイライン クロノグラフはゼニスのクロノグラフのラインナップを拡大し、特にウブロのマーケットに割って入るものだ。エル・プリメロ、リバイバル、そしてクロノマスター・スポーツのような、ゼニスの定評あるモデルに代わるエル・プリメロ搭載モデルとして満を持してラインナップに追加されたのである。

基本情報
ブランド: ゼニス
モデル名 : デファイ スカイライン クロノグラフ(Defy Skyline Chronograph)
型番: 03.9500.3600/51.l001 (ブルーダイヤル)、03.9500.3600/01.l001 (シルバーダイヤル)、03.9500.3600/21.l001 (ブラックダイヤル)

直径: 42mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: 3色(上記リファレンスのとおり)
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: スティールブレスレットとラバーストラップが付属(いずれもクイックチェンジ機能あり)

ムーブメント情報
キャリバー: エル・プリメロ3600
機能: 時・分表示、10分1秒計測クロノグラフ(中央のクロノグラフ針は10秒で1回転)、スモールセコンド、60分積算計、60秒計、日付表示
直径: 30mm
パワーリザーブ: 60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時(5Hz)
石数: 35
追加情報:センター秒針で10分1秒を計測するため、インダイヤルにはクロノグラフ用の60秒計とクロノグラフの60分積算計を搭載。中央の大型秒針は10秒で1回転する(60秒で1回転ではない点に留意)。

価格 & 発売時期
価格: 176万円(税込)

ルイ・ヴィトンによるウォッチラインナップの刷新が続いている。

ルイ・ヴィトンがエスカルのラインナップを発表したのは10年前、そろそろアップデートの時期が来たというわけだ。ブランドは手始めに、シンプルな3針ドレスウォッチ4モデルを用意した。ローズゴールドケースの2モデルと、ダイヤモンドとメテオライトをそれぞれあしらったプラチナケースの2モデルだ。いずれも再構築されたケース、テクスチャー感のある文字盤、そしてレザーストラップを採用している。

アップデートされたケースは直径39mmで、従来のエスカルと同様に、ラグとケースをつなぐデザインはルイ・ヴィトンの名作トランクの真鍮製金具をイメージしている。これは見事な演出であり、たとえそのリベットが装飾であったとしても結果として魅力的なケースに仕上がっている。そしてリューズは本作のテーマに則り、トランクのリベットの形状を模した八角系のドーム型となっている。ケースの表面仕上げはサテンとポリッシュが混在しており、ルイ・ヴィトンはこの美観の実現に手作業による仕上げが必要だったと述べている。

メテオライト文字盤と、オニキス文字盤にバゲットセッティングを施したベゼルを備えるプラチナ製エスカル。

トランクメーカーとしてのルイ・ヴィトンの伝統を称えるデザインはダイヤル上にも続き、15分刻みのマーカーも真鍮製の金具を思わせるものとなっている。ブランドによると、このマーカーは実際に機能的であり、手作業で植字され、中央のダイヤルと外側のミニッツトラックをつなぎ合わせているのだという。RGケースモデルにはシルバーまたはブルーの文字盤を用意した。どちらもルイ・ヴィトンのキャンバス地をイメージした、型押しによるきめ細かなテクスチャーが施されている。外周のミニッツトラックはブラッシュ仕上げで、ゴールドのスタッズがあしらわれている。

プラチナケースのメテオライト文字盤。

プラチナケースモデルはさらに華やかで、メテオライト文字盤(ダイヤモンドなし)とブラックオニキス文字盤(ダイヤモンドたっぷり)がある。プラチナモデルにはともにホワイトゴールドの針が、RGモデルにはケースとマッチしたゴールドの針が採用されている。

新型エスカルの各モデルには、Cal.LFT023が搭載されている。これは昨年のタンブールにも採用されていた自動巻きマイクロロータームーブメントで、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンがル・セルクル・デ・オルロジェと共同で設計したものだ。ムーブメントの装飾は比較的控えめで、ほとんどのパーツに均一な粒状の仕上げが施されている。ムーブメントの外観はきわめてインダストリアルだが魅力的で、22Kゴールド製のマイクロローターが美しいアクセントとなっている。

ルイ・ヴィトンのトランクを彷彿とさせるエスカルの横顔。

この価格帯の高級時計では珍しいことではないが、ムーブメントにはエタクロン緩急針が採用されている。しかし競合他社(特にロレックス 1908など)には、フリースプラング方式を採っているものもある。価格はRGの両モデルがともに414万7000円。プラチナ製のメテオライト文字盤モデルは557万7000円(ともに税込)で、バゲットカットダイヤモンドが付いたプラチナモデルは価格要問い合わせとなっている。いずれもカーフスキンストラップが付属する。

ルイ・ヴィトンが本格的に時計メーカーへと変貌を遂げつつある。昨年発表されたタンブールは、すでに人気の高いブレスレット一体型スポーツウォッチの分野に参入する見事なものだったが、今回のエスカルはそれを補完するドレスラインである。おおむね予想どおりではあるが、堅実で均整のとれた、オーソドックスなコレクションに仕上がっている。39mm径の貴金属製ドレスウォッチで、さまざまな文字盤色(ダイヤモンドもある)が用意されているのは、世界有数の高級時計ブランドによる力強い商業的提案のように感じられる。メテオライトとプラチナの組み合わせは他ブランドのドレスウォッチでも見たことがあるものだが、今作はとてもクールな印象だ。

ルイ・ヴィトンのエスカルは、細部に至るまで配慮が行き届いている。高級トランクや革製品を生み出してきたルイ・ヴィトンの伝統を、ひとつひとつのパーツが、実に思慮深く控えめな手法で表現しているのだ。ラグとケースを“つなぐ”装飾的なリベットも、決して仰々しさを感じさせない。

新しいエスカルには昨年のタンブールにも搭載されていたムーブメント、LFT023が採用されている。

機構的には、昨年のタンブールで発表されたCal.LFT023以上に目新しいものはエスカルには見られない。見た目もスペックも申し分のないムーブメントだが、この価格帯のほかのドレスウォッチと大きく変わらない。仕上げや精度に文句を言うのは勝手だが、同じ方向性の時計でエスカルのそれよりも高い価値を提供するブランドは近年では少数派であり、まれだ。

同価格帯の時計、たとえばかつてのカラトラバの価格(Ref.6119Rも508万円なので、ほぼ同じゾーンだが)などを考えると、ロレックス(パーペチュアル 1908)、ランゲ、ショパールなど、ほかのドレスウォッチに目が行くかもしれない。ルイ・ヴィトンのようにグローバルでのブランド認知度を誇るのはそのうちのひとつだけであり、エスカルを検討する際にはおそらくそれがもっとも重要な要素になるだろう。時計を購入するにあたって、それが間違った考えだとは私は思わない。だが、それよりも優先すべき要素がほかにも数多くあることは確かだ。

ここ数年でルイ・ヴィトン、そしてLVMHは時計業界に大きな商機を見出していることを明らかにしており、ラグジュアリーのその他の分野で行ってきたことを、この業界においても行おうとしているようだ。そして何よりもエスカルはこの商機を最大限に生かすために完璧に調整されているように感じられる。確かに考え抜かれており、完成度が高く、技術的にも優れた素晴らしい時計である。そしてブランドは何よりも素晴らしい新たな事業を立ち上げようとしており、タンブールとエスカルがその礎となることを望んでいるのだ。

基本情報
ブランド名: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: エスカル(Escale)

直径: 39mm
ケース素材: ローズゴールド、プラチナ
文字盤色: テクスチャーのあるシルバーまたはブルー(RGモデル)、メテオライト(プラチナモデル)、ブラック(ダイヤモンドセットのプラチナモデル)
インデックス: アプライド
ストラップ/ブレスレット: カーフレザーストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: LFT023
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 30.6mm
厚さ: 4.2mm
パワーリザーブ: 50時間
巻き上げ方式: マイクロローター式自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 32
クロノメーター認定: ジュネーブにあるクロノメーター検定機関による認定
追加情報: ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンとル・セルクル・デ・オルロジェの協同設計