カテゴリー: スーパーコピー

最初にH.モーザーが新たな“ポップ コレクション(POP! Collection)”を発表!

少なくとも自分のなかでは、この名称からカラフルなプラスチック製の腕時計や、コミックブック風のアートが思い浮かんだからだ。H.モーザーはこれまでにも、チーズ製ケースや“デジタル”ダイヤルなど、時計界の常識を覆すような奇抜な試みに挑んできたブランドだけに、今回もかなり風変わりなものを予想していた。プラスチック製のムーンスウォッチ風モーザーが登場するのか? それともメイラン(Meylan)家の誰かが手描きしたキャンバス地のダイヤルが付くのか? そんな妄想をしていたなかで、ポップ コレクションの実物を見たときには、安心感と軽い落胆の入り混じった気持ちになった。というのも、それは思いのほか“普通”の新作だったからだ。少なくともモーザーの基準からすれば、である。

Jade dial and opal tourbillon soldier
ビルマ産ジェード(翡翠)とピンクオパール。

 なんと18本(そう、18本)もの新作リファレンスが一挙に登場した今回のポップ コレクションで、H.モーザーはおなじみのエンデバー・コンセプトとその各種バリエーション(スモールセコンド、トゥールビヨン、ミニッツリピーター トゥールビヨン)にすべてストーンダイヤルを採用してきた。使用された石は実に多彩で、ビルマ産ジェード(翡翠)、ターコイズ、コーラル(珊瑚)、ピンクオパール、ラピスラズリ、レモンクリソプレーズがラインナップされている。記憶にある限り、モーザーが最後にストーンダイヤルを用いたのは、ワイオミング産ジェードのダイヤルを備えたストリームライナー・トゥールビヨンだったはずだ。今回のポップ コレクションでは、ワイオミング産とビルマ産という2種類の翡翠の違いがはっきりと示されている。前者がより濃く深みのあるグリーンなのに対し、後者は淡くパステル調のグリーンとなっている。

 ダイヤルの話に入る前に、まずはケースについて触れておこう。スモールセコンド仕様のエンデバーはステンレススティール製で、直径38mm、厚さ10.4mm。トゥールビヨン仕様も同じくSS製だが、こちらはより大きめの40mmケースを採用しつつも装着感は良好で、厚さは11.2mmに抑えられている。そして最後に、ミニッツリピーター トゥールビヨンは5Nレッドゴールド製で、ケース径は40mm、厚さは13.5mmとなっている。いずれのモデルもサファイアクリスタル風防とシースルーバックを備え、搭載されたキャリバーを存分に眺めることができる。とはいえこれらの仕様は過去に何度も見てきたエンデバーと大きく変わるものではない。やはり今回のポップ コレクションの醍醐味は、なんといってもストーンダイヤルにあるのだ。

minute repeater in turquoise
ターコイズダイヤルの下にのぞくコーラルカラーのプレートが、このミニッツリピーター トゥールビヨンを彩っている。

Minute repeater side case
Minute repeater caliber
 18種ものSKUと聞くと圧倒されそうだが、実際には見た目ほど複雑ではない。ポップ コレクションに使われている6種類のストーンは、それぞれペアで組み合わされている(ビルマ産ジェードとピンクオパール、ラピスラズリとレモンクリソプレーズ、そしてターコイズとコーラル)この3組のペアごとに6つの異なるモデルが展開されているのだ。ビルマ産ジェードとピンクオパールについてはエンデバー・スモールセコンドの2モデルを用意し、それぞれジェードとオパールがメインダイヤルに採用されている。そして各モデルのスモールセコンドインダイヤルには、それとは逆の石が使われている。一方でトゥールビヨンの2モデルについては、ケージのカットアウトによりインダイヤル用のスペースが確保できないため、対になる石はリング状に配され、メインダイヤルに干渉する形で取り入れられている。このビジュアルの演出は、通常のエンデバー・コンセプトで見慣れたものとはやや異なり、カラーブロッキングを取り入れたポップアートへのオマージュとしての存在感をしっかりと感じさせる。ミニッツリピーターでは、立体的に配置されたメインダイヤルにストーンが使われる一方で、ゴングの背後に見える下層のダイヤル部分は、全体のカラースキームに合わせたカラーリングが施されているのみとなっている。この下層パーツには曲線的なカットアウトが必要とされるため、構造的にストーンを用いるには繊細すぎて現実的ではないと思われる。

 それぞれのストーンの組み合わせは、時計にまったく異なる美学と視覚的な重みをもたらしている。ビルマ産ジェードとピンクオパールの組み合わせ(個人的には子どものころによく食べたスイカ味のトリックス・ヨーグルトを思い出してしまう、というのは愛情を込めた表現だが)は、このポップ コレクションのなかでも最もやわらかなカラーパレットを体現している。ストーンダイヤルにしては内包物は控えめで、それゆえにすべてのピースが一点物としての個性を放つ。なお、レモンクリソプレーズについては今回初めてその名を耳にしたが、その淡さはラピスラズリが持つ深く豊かな美しさとの対比により、非常に効果的なコントラストを生み出している。この組み合わせはスモールセコンドのダイヤルで特に映え、小さな円形の差し色が絶妙なアクセントとなっている。一方で、この組み合わせにおいてはトゥールビヨンのダイヤルが最も魅力に欠けるように感じられた。真ん中のリングが反対の石をやや過剰に遮ってしまっており、全体のバランスを乱している印象があるからだ。そして最後に触れておきたいのが、ターコイズと深みのあるオレンジコーラルの組み合わせだ。このペアは、3つのうちで最も鮮烈かつ強い印象を放つ組み合わせだと思う。これは両者の彩度の高さに加え、寒色と暖色を意図的にぶつけ合ったようなコントラストが生むものだ。皮肉なことに、この色のぶつかり合いこそが5Nレッドゴールド製ケースを採用したミニッツリピーター トゥールビヨンというモデルに、最もふさわしい雰囲気を与えている。

Lemon Lapis Dial Closeup
レモンクリソプレーズに、ラピスラズリのさりげないアクセントが添えられている。

lemon lapis tourbillon
Image Courtesy: H. Moser & Cie.

Turqouise Tourbillon Macro
 今回のリリースは何よりもダイヤルが主役であるため、新たなキャリバーは導入されていない。スモールセコンドモデルには、自動巻きCal.HMC 202が搭載されており、パワーリザーブは約3日間、振動数は2万1600振動/時となっている。トゥールビヨンモデルには自動巻きCal.HMC 805が搭載され、こちらはワンミニッツフライングトゥールビヨンを備えつつ同じく約3日間のパワーリザーブと2万1600振動/時のスペックを持つ。モーザーのフライングトゥールビヨン ミニッツリピーターキャリバーについては、これまであまり語られてこなかったが今回改めて注目すべきは、その構造とケース内で縦方向に積層された複雑機構の配置だろう。これはオープンワークのダイナミズムと、エンデバー・コンセプトの持つミニマリズムとの絶妙なバランスを実現しているユニークな設計と言える。このCal.HMC 904は手巻きで、約90時間という長めのパワーリザーブを備えている。

 ご想像のとおり、ここで紹介された18モデルはいずれも限定生産となる。これは主に今回の時計に使用されたストーンの歩留まりによるものだ。SS製のスモールセコンドモデルは、それぞれ28本の限定生産(つまり、各ストーンペアにつき56本)で、価格は567万6000円。ただし、ターコイズ×コーラルのモデルのみ726万円に設定されている。トゥールビヨンモデルはそれぞれ5本の限定生産で大半は1394万8000円、こちらもターコイズ×コーラルのモデルだけは1469万6000円となっている。そして5Nレッドゴールド製のミニッツリピーターモデルは、6種すべてがユニークピース(一点物)として製作され、価格はすべて5688万1000円(すべて税込予価)という堂々たる設定だ。

Wristshot of jade dial
 正直に言うと、これらの時計を実際に(金属とストーンで)目にしたとき、終始笑みがこぼれていた。モーザーは超高額な複雑機構の時計であっても、どこか肩肘張らずに楽しめるような雰囲気をつくることに、常に成功し続けている。そして今回のモデル群もその系譜をしっかりと受け継いでいる。公式ウェブサイトを見れば一目瞭然だ。モーザー・アート美術館のギャラリーなど、そのユーモアの効いたトーンはまさに“おちゃめ”の極みである。その一方で、こうしたふざけた演出(マーケティングキャンペーンをイタいと批判する声高な論者もいたが、私はそうは思わない)に対し、25万ドル(日本円で約3560万円)以上をミニッツリピーターに費やそうという潜在的な顧客の一部が引いてしまう可能性もあるだろう。だが、モーザーが真に得意とするのは、まさにこのスタイルを突き詰め、そしてそれを心から楽しむ顧客を的確に見つけ出すことにある。今回もその強みがいかんなく発揮されている。

ベル&ロス BR 03 TYPE A パトルイユ・ド・フランス 42mm デジ・アナ 100本限定が新登場。

デジ・アナ(TYPE AVIATION)ですね、クォーツムーブメント BR-CAL.103を搭載しています。

もう10年位なんだかんだで出続けているデジ・アナですが、時計ファンに達には人気があるんでしょうか?

多機能ですがG-SHOCKに比べて、値段がかなり高めなのが気になります・・・

売れているんですかね?

売れているから作るんでしょうね、やっぱり。

何か既視感があるな~と思ったからこちら。

ブライトリング B-1 パトルイユ ド フランス リミテッド エディションね。

かなり古いモデルです。

パトルイユ ド フランスのロゴとカラーリング、そしてデジ・アナ仕様にしたら、そりゃ似るわって感じですが、BELL&ROSSの方がオシャレ。

計器感も強めで BR 03 TYPE A パトルイユ・ド・フランスは格好良いですね。

100本の限定モデル、国内定価は528,000円。

BR 03 TYPEA PATROUILLE DE FRANCE

BR 03 TYPE A PATROUILLE DE FRANCE
42 MM
世界限定 100 本

12月末発売予定
2021年、patrouille de France と公式な時計製造パートナーシップを提携し、最初の特別な時計をリリースしたBell & Ross は、 BR 03 Type A Patrouille de France の開発においても空への冒険を継続してきました。

技術仕様
ムーブメント
BR-CAL.103アナログ-デジタル表示式多機能クォーツ インストゥルメント ウォッチ。

機能
メイン アナログ表示:時、分。切替デジタル表示:1/100 秒のクロノグラフ、スプリットタイム、カウントダウン、セカンド タイムゾーン、アラーム、パーペチュアルカレンダー。使用可能言語:フランス語、英語、スペイン語、ドイツ語。

ケース
幅 42 mm。厚さ 11.25 mm。ポリッシュ/サテン仕上げステンレススティール。60 分目盛り付きステンレススティール製両方向回転式ベゼル

文字盤
マットブルー ペイント。9 時位置にフランス憲兵隊のロゴ。青色発光ホワイト スーパールミノバ® 加工を施したホワイト プリントの数字およびインデックス。

スポンサーリンク

カバーガラス
反射防止サファイアクリスタル。

防水性
100 m 。

ストラップ
ブルー ラバー、12 時側にフランス憲兵隊のロゴとブラックのヘビーデューティー仕様シンセティックファブリック。

伝説的なカラーをまとったウォッチ
各国の国軍精鋭飛行チームが危険な任務において当時計ブランドのタイムピースを装備していることは、Bell & Ross が達成してきた卓越性の証しと言えます。中でも、「patrouille de France(パトルイユ・ド・フランス)」は、世界で最も崇高なアクロバット飛行チームであり、フランス航空宇宙軍の専門技術を具現化したフランス航空業界の真のアンバサダーです。

基本理念としての絶対的高精度
パイロットにとって一瞬一瞬が極めて重要であり、時間を制することがアクロバット飛行チームの決定的な要素です。そのため、BR 03 Type A Patrouille de France は、Bell & Ross のエンジニア、時計職人の専門技術を結集して開発されました。

アナログとデジタルによるデュアルディスプレイ
クォーツ式ムーブメントを搭載したプロ仕様のこの時計は、アナログとデジタルのデュアルディスプレイが特徴です。ハイドレインバッテリーにより電池寿命は30カ月。厳しい環境でも視認性を最大限発揮するため、時、分は従来の針で表示する一方、秒はデジタルスクリーンに表示されます。

ドクターマーチン“バンダナ”パッチワーク風レザーシューズが新登場。

小花が散るバンダナ柄レザーシューズ
1461 ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
1461 ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
ドクターマーチンが今回初めてコラボレーションするのは、日本の伝統的な仕立て技術に、ティファニー スーパーコピー個性豊かなテキスタイルデザインを融合させたファッションブランド、ノーマリズム テキスタイル。コラボレーションでは、ドクターマーチンの定番シューズ「1461 シューズ」と「Isham ミュール」をベースにアレンジを施した、2型のレザーシューズを展開する。

鮮やか発色のプリントレザー
Isham ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
Isham ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
使用する素材は、ドクターマーチンが展開する再生革を用いた新たなレザー素材「ジェニックス ナッパ(Genix Nappa)」。そこに、ノーマリズム テキスタイルのシグネチャープリントである、バンダナをモチーフに小花を散りばめた柄「Draw Your Garden」を施した。鮮やかな色彩とプリントの質感を最大限に引き出す素材の特性により、華やかな柄が一層際立つ仕上がりとなっている。

レッド・ブルー・ブラックバンダナのパッチワーク風「1461 シューズ」
1461 ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
1461 ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
アイコニックな3ホールシューズ「1461 シューズ」は、色とりどりのバンダナをパッチワークしたようなデザインが魅力。レッド、ブラック、ブルーを基調としたプリントを組み合わせ、ホワイトのジグザグステッチで縫い合わせたような遊び心溢れるデザインに仕上げた。ソールには、空気の層を内包したゴム製ソール「DMS アウトソール」を採用し、クッション性に優れた快適な履き心地も実現した。

小花が映えるダークトーンのミュールサンダル
Isham ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
Isham ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント 29,700円
スリッポンタイプのミュールサンダル「Isham ミュール」には、ブラック・ブルー・ホワイトを組み合わせたバンダナ柄を採用。ダークトーンのシックな雰囲気の中に、ホワイトの小花柄が映える仕上がりとなった。アッパーにはシングルバックルのストラップを備えており、さっと履けるスリッポンタイプでありながら、安定感のある履き心地を叶えている。

【詳細】
ドクターマーチン × ノーマリズム テキスタイル
発売日:2025年7月3日(木)
取扱店舗:ドクターマーチン コンセプトストア ショールーム TYO、ノーマリズム テキスタイル ウィークエンド ストア(東京都渋谷区神宮前5-9-17 #201)、ドクターマーチン ジャパン公式アプリ
※ノーマリズム テキスタイル ウィークエンド ストアは土日のみ営業。
<アイテム>
・1461 ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント
価格:29,700円
サイズ:UK4〜UK10(23.0〜29.0cm)
・Isham ノーマ ホワイト+マルチ Genix ナッパ+バンダナ プリント
価格:29,700円
サイズ:UK3〜UK11(22.0〜30.0cm)

【問い合わせ先】
ドクターマーチン・エアウエア ジャパン
TEL:0120-66-1460

34mmのA.ランゲ&ゾーネ 1815が新登場。

A.ランゲ&ゾーネの最新作について耳にしているだろう。新しいロレックス ランドドゥエラーについて軽く話したあと、我々の初日のポッドキャストで最初に取り上げたブランドがランゲであった。それほど話題の中心にあったのだ。同僚のマライカ・クロフォードは“HODINKEEで働いている人間はみんなランゲに夢中よ”と語っており、それはおそらく誇張ではない。このブランドは、カタログのほぼすべての時計で愛好家の心をつかむ特別な力を持っている。ベン(・クライマー)がごく簡潔に言い表したように、“我々は時計とは何かをわかっているからだ”と。

A.ランゲ&ゾーネスーパーコピー時計 激安といえば、時計フェアでの新作発表において常軌を逸した複雑機構が“中心”に据えられていると想像してしまうことが多い。文字どおり“中心”に、しかも特大サイズで表現されるのが常だ。今年のミニッツリピーター・パーペチュアルのように、時にはブース内のスピーカーからチャイム音を鳴らすこともある。しかし意外な展開として今年話題をさらったのは、控えめな佇まいの1815だった。絶妙なバランスを突いた34mm径のケースに刷新され、すべての人々の関心を引きつけたのである。厚さ6.4mmとスペックも申し分ない。そしてグランド・コンプリケーションに対してもエントリーモデルに対しても、1ミクロンの精度まで注ぎ込むことで知られるこのブランドにとって、新Cal.L152.1の登場は驚くべきことではない。34mmの1815は、ここ数年で2万5000ドル(日本円で約360万円)以下の価格帯におけるランゲで最も魅力的な新作である。

ランゲのプロダクト・ディレクターであるアンソニー・デ・ハス(Anthony de Haas)氏は、猛烈で情熱的なエネルギーを持つ人物である。彼の製品プレゼンテーションのためにランゲのブースに足を踏み入れることは、まるでスポーツイベントに参加するかのような感覚だ。ただしそのスポーツとは、ひとりの男が頭のなかにある無数のアイデアを選び取り、それを流麗な文章として紡ぎ出し、舌先にまで押し出してくるというものだ。彼の時計、そしてランゲに対する知識はいかなるマニアックなコレクターをも凌駕する。こうしたプレゼンテーションの場においては、驚くほどまれな資質である。今回の34mm 1815は、まるでデ・ハス氏にとって最愛の息子のように感じられる。その存在そのものへの賛美をあまりにうれしそうに語るので、思わず彼が最新作のランゲを毛布にくるんであやし始めるのではないかとすら思ったほどだ。彼は新キャリバーに注がれた情熱を語りながら、父親のように誇らしげな表情を浮かべていた。そしてはっきりと言い切った。この開発は、“小型モデルが求められているから1815のケースを縮めて、既存のムーブメントが入るか試してみよう”といった安易な発想ではまったくないのだと。

週末にはクラシックカーのMGを運転するような、80歳の祖父のような格好をした8歳の子どもに会ったことがあるだろうか? 誰もが“ちびっ子”と呼ぶ、あの子である。それこそが34mmの1815なのだ。

ランゲの最も象徴的なモデルは、もちろんシンプルなランゲ1だ。しかし、このブランドが熱狂的な愛好家たちから盲目的なまでに支持される理由の多くは、その複雑機構にこそ集約されている。たとえば新作のミニッツリピーター・パーペチュアル、クラシックなダトグラフ、あるいは2018年のトリプルスプリットなど、ランゲはあらゆる機構を全部盛りにした時計をつくることにかけて卓越しており、その魅力はたいてい裏蓋側からこそ真価を発揮する。極小の部品すべてが惜しみなく見せつけられる構造になっているからだ。それを理解し、鑑賞できることは確かに重要である。しかしひと目でそれとわかる禁欲的なまでに簡潔な1815を生み出す力もまた、ランゲというブランドの本質を語るうえで欠かせない要素である。

1961年、BMWはフランクフルト国際自動車ショーにて3200 CSと1500を発表した。そこで特徴的に用いられていたのが、いわゆるホフマイスター・キンクである。このセダンの後部ピラー下部に入った鋭角の前傾カーブは、BMWが発明したものではないにせよ今やブランドのアイデンティティとなっており、より広義には“ラグジュアリーカー”の識別子としても知られる。BMWのデザイン責任者だったヴィルヘルム・ホフマイスター(Wilhelm Hofmeister)は、おそらく初期のキャデラックやランチアのデザインに着想を得たと思われるが、このキンクをBMW流に昇華させた。これがドイツ的な特徴であるかどうかはさておき、A.ランゲ&ゾーネにおけるホフマイスター・キンクとは、まさにランセット型の針である。このディテールこそが、時計愛好家はもちろん一般の観察者にもこれはラグジュアリーウォッチであると伝えるサインなのである。ランゲのCEOが元BMWの幹部であるという事実も、もはや驚きではないだろう。

時計が優れたつくりであるかどうかは、さまざまな要素によって決まる。しかしキンクと同様に、針をよく見ればその時計がいいものかそうでないものかはすぐにわかる。形状、バランス、仕上げの質、そして全体としてのエレガンス、それらが複合的に作用しているのだ。ランゲの針はカタログ全体をとおして非常に一貫しており、これらすべてを高いレベルで備えている。ブランドの過去のカタログを見ると、これといって印象的な針のデザインが存在していたわけではない。これについては、1994年のブランド復活に向けた準備段階で、デザイナーたちも同様に認識していたに違いない。ホフマイスター的なアプローチとして、当時のランゲのチームが“ラグジュアリー”ウォッチの最高峰からインスピレーションを得たのではないかという予感がある。ランゲのランセット針には、パテック フィリップのRef.3796や3940の要素が、そしてヴァシュロン・コンスタンタンのスケルトン永久カレンダー Ref.43032の雰囲気もわずかに感じられる。

そう、ランゲには非常に明確で、いかにもドイツ的なデザイン言語がある。そしてドイツ人はこうした美意識に対して頑ななところがあるが、最も優れている点は最初に正しいものをきちんと選び取り、そのあともそれを愚直に守り続けるところにある。ランゲの真価はランゲらしさから大きく逸れることを頑として拒む姿勢にこそある。ただし重要なのは、その“中核”となる美学や設計原則が決して手放すべきでないほど優れているという点だ。だからこそランゲは、今回の新しい1815のようにきわめてシンプルな時計をつくっても、コレクターの度肝を抜くことができるのである。

ではスペック面からいこう。Cal.L152.1は、ランゲにとって通算75番目の自社製ムーブメントである。ブランドの再興からわずか31年しか経っていないことを考えれば、この数字は驚異的である。構造はおなじみの4分の3プレートに手彫りのテンプ受けを備え、4つのネジ留め式ゴールドシャトンが、このムーブメントに完全に再設計された輪列が採用されていることを物語っている。38.5mmバージョンに搭載されているL051.1と比較すると、香箱の位置はリューズにより近づいており、クリックもキーレスワーク(リューズ機構)から移動されてスペースが確保されている。このクリックの配置変更こそが、HODINKEE編集部のデスクを囲んだ面々が夢中になって語り合う、L152.1特有のヴィンテージ感あふれる巻き味の心地よさに直結している可能性がある。ただ手応えが心地よいというだけでなくこの新しい輪列設計は、パワーリザーブの向上という実用的な成果にも結びついている。L051.1の約55時間から一気に伸びて約72時間となり、週末に耐えうるどころか長い週末にも耐えうる性能を備えるに至った。

この新キャリバーにおける小さいディテールのひとつが、スタッドブリッジである。これはダトグラフ・パーペチュアルやリヒャルト・ランゲ “プール・ル・メリット”といった、ブランドの上位機種から取り入れられた設計であり、L152.1にはこのスタッドブリッジが採用されていることで、調整がしやすくなっている。スワンネック型スプリングによって緩急調整を行う際、スタッドブリッジに設けられた溝付きネジを緩める構造になっており、この設計は38.5mmの1815やランゲ1には見られないものだ。ネジが張力を保持した状態で調整できるため、精度調整の作業が格段に容易になる。ニューヨーク在住の経験豊富なランゲ認定時計技師が語ったように、“ビート誤差をゼロに合わせやすくなったし間違いなく優れた設計だが、そのぶん製造コストは上がっているはずだ”とのことである。

ケースの外観は見慣れたものではあるが、実際に手首にのせてみるとほかの多くのランゲとはプロポーションが異なることに気づく。全体の厚さ6.4mmという、いわば“薄さ”がその大きな要因であるが、個人的にはラグ幅が17mmに設定されている点にも注目したい。というのも38.5mmの1815はラグ幅が20mmであるため、同じ比率でスケールダウンするなら34mmケースには18mmラグが妥当と考えられる。だが、あえて1mm狭く設定されているのだ。この選択は一見些細に思えるかもしれないが、装着感においては確かな違いを生むディテールである。ケース素材のバリエーションについてはホワイトゴールドとピンクゴールドの2種。好みに応じて選ぶとよいだろう。

ランゲのカタログでおなじみのブルートーンを基調としたダイヤルは、わずかに段差のついた構造で構成され、アラビア数字がその外周を縁取り、スモールセコンドにはごく控えめなスネイル仕上げが施されている。そしてこれまでにも触れてきたとおり、ケースに合わせたランセット型の針がその外観を完成させている。シンプル、抑制的、禁欲的、あるいはいかにもドイツ的と呼ぶべきか。ランゲの美学は少なくとも一貫している。それは1980年以前のパテック フィリップのほぼすべてのモデルが、祖父の腕時計のように見えながらも、時計ブランドを3つしか知らない人ですら部屋の向こう側からでもヴィンテージパテックだとわかるような、そうした一貫性と個性の共存に似ている。ランゲもまた、そのようなブランドとしての存在感=ブランド・カシェ(信頼資産)を確実に築きつつある。

では、34mmというドイツ的完成度の結晶にいくらかかるのか? その価格は2万4500ドル(日本円で約350万円)だ。ランゲのカタログ内において、この新しい1815は上位モデルにあたる38.5mm版の1815(税込で444万4000円)より6600ドル(日本円で約95万円)安く、一方で真のエントリーモデルである37mm サクソニア・フラッハ(税込で336万6000円)より1000ドル(日本円で約15万円)高い位置づけとなっている。小径ケースを求める特定の層にとっては、この価格帯で競合となるモデルは他ブランドを見渡してもほとんど存在しないだろう。

ブリュー史上最も小型となる新作は、

ブリューウォッチは、これまで発表したモデルのなかで最小サイズとなるメトリック ライトをトリオで発表した。もともとメトリック自体が36mmというコンパクトなサイズであったが、今回の3モデルは30mmケースを採用しており、客観的に見ても非常に小振りだ。それでもマイクロブランド愛好家にとってなじみ深いこのラインのアイデンティティはしっかりと守られている。

Brew Mother of Pearl Dial
Steel Black Dial
Gold PVD Black Dial
 ケースはステンレススティールとゴールドPVDの2種類が用意されており、ダイヤルの展開は全3種類。SSには深みのある光沢ブラックダイヤルと、遊び心を添えるマザー オブ パールダイヤルの2タイプが組み合わされている。一方、ゴールドPVDケースにはブラックダイヤルがセットされ、クラシックな印象にまとめられている。ダイヤルにはいつもどおり、コーヒー豆のモチーフがインタリオ(沈み彫り)で刻まれ、これら3モデルすべてがフラットリンクの“一体型スタイル”のブレスレットとノッチ付きリューズを備えたケースに収められている。

 新作にはクォーツムーブメントが搭載されると予想した読者もいるかもしれないが、メトリック ライトには自動巻きのミヨタ製6T27ムーブメントが採用され、サファイアクリスタル製のシースルーバックからその姿を眺めることができる。このキャリバーは小型時計向けに設計されており、2万8800振動/時で駆動。40時間のパワーリザーブを備える。ムーブメントに装飾こそ施されていないが、この価格帯では当然だろう。ローターには“BREW”のロゴが大きくあしらわれ、独自性のある洒落たディテールとなっている。

Steel Brew Clasp
MOP Dial up close
Miyota Movement Caseback
 メトリックのケースデザインは従来どおりクッション型で、すべてのバリエーションにおいてSSが用いられている。ゴールドモデルのみ、SSケースの上からPVDコーティングが施されている。本機は直径30mm、ラグ・トゥ・ラグ34mm、ケース厚10.5mmというスペックからもわかるとおり、非常に小型の時計だ。ただし決して平坦な印象はない。ダイヤルには奥行きのある見返しインナーリングと、“山頂を思わせる”ファセットカットのアプライドインデックス、そしてダイヤル周囲にはドット状の夜光塗料が配されており、立体感のある構成は健在だ。

 ブリュー メトリック ライトは現在販売中で、3種すべてのバリエーションが日本では375ドル(日本円で約5万5000円)で展開されている(編注;マザー オブ パールダイヤルのモデルは完売)。

我々の考え
ここ数年、ブリューは実績あるスタイルを踏襲し続けており、目立った変化といえば、細かなデザインの調整やちょっとした改良程度にとどまっていた。しかし意外なことに、今回のケースサイズの変更はブランドにおけるこれまでの流れからすると驚くほど強いインパクトを放っており、個人的にも大いに歓迎したい。今回のローンチについて語るうえで避けて通れないのは、メトリック ライトが昨今多くの大手ブランドで見られる小型化の流れを受けて登場したという点である。真っ先に思い浮かんだのは、昨年登場したロイヤルオーク ミニの3部作。メトリック ライトはブリューのほかのデザインに比べても、明らかによりトレンディでファッション志向が強いモデルとなっている。

Wristshot of Gold Metric Lite
 375ドル(日本円で約5万5000円)という価格帯において、メトリック ライトは遊び心あるユニセックスなデザインで、手首の細い人向けの有力な選択肢のひとつとなった。実のところこれまでは、細身のブレスレットや小振りなクォーツヴィンテージウォッチに慣れた人に現行モデルでのおすすめの時計を尋ねられたとき、ちょうどいいモデルを見つけるのが難しかった。しかしこのモデルはデザイン性を重視しながらも、機械式時計に求められる魅力をしっかり備えており、そのニッチな需要にぴたりとはまる存在だと言えよう。

基本情報
ブランド: ブリューウォッチ(Brew Watch Co.)
モデル名: メトリック ライト(Metric Lite)
直径: 30mm
厚み: 10.5mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ブラックまたはマザー オブ パール
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: SS製フラットリンクブレスレット

ムーブメント情報
キャリバー: ミヨタ 6T27(Miyota 6T27)
機能: 時・分表示、センターセコンド表示
パワーリザーブ: 40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 21
クロノメーター認定: なし

価格&発売時期
価格: 375ドル(日本円で約5万5000円)
発売: 発売中(編注;マザー オブ パールモデルは完売)
限定: なし