カテゴリー: スーパーコピー

オリエントスターのダイヤルの進化が、新たな次元に入った。

オリエントスターから新たなフラッグシップとなるM34 F8 デイトが登場。

オリエントスターのなかでも、コンテンポラリーなデザインやスタイルを持ったラインナップを展開するM34コレクションに、新作となるM34 F8 デイトが加わった。M34は、ブランドのなかでも⾃社の先進テクノロジーを駆使して表現するコレクションだが、そのなかでも新たなフラッグシップとして開発されたのが本作だ。

センターセコンド、3時位置の⽇付表示、そして12時位置にパワーリザーブインジケーターをレイアウトしたオリエントスターではオーソドックスなスタイルだが、M34 F8 デイト最大の特徴はダイナミックかつ繊細なそのダイヤル表現にある。ダイヤルにペルセウス座流星群をイメージしたという独特の放射パターンを持つ高精細な装飾が施されているのだ。

この高精細なダイヤルの装飾は、職人による⼿彫りの金型をもとに真鍮板をプレス成形することで作られる。長野県塩尻に拠点を置くセイコーエプソン塩尻事業所内の「信州 時の匠工房(※)」が製作を担うが、世界でも稀なマニュファクチュールであり、実はオリエントスターのハイエンドモデルの一部にもここで製造されたダイヤルが採用されている。

※編注:「匠工房」「マイクロアーティスト工房」「文字盤工房」「ケース・宝飾工房」で構成される4つの工房の総称。ムーブメントの開発・設計・製造をはじめ、ケース、ダイヤル、針、インデックスなどパーツ製造から組立・調整まで一貫して行っている。

白々明けを表現したホワイトダイヤル

満天の星が煌めく夜空をイメージしたブルーダイヤル

ダイヤルバリエーションはふたつ。どちらもペルセウス座流星群が降り注ぐ情景をデザインテーマとしているが、満天の星が煌めく夜空に降り注ぐ様をイメージしたのがブルーダイヤル、そして白々明け(夜が明けようとして、空が次第に白くなりはじめる様子)の空に降り注ぐ様を表現したのがホワイトダイヤルだ。

そして今回ブルーダイヤルに用いられたのが、エプソンが開発し特許を取得した光学多層膜技術である。この技術は、ダイヤル上にナノレベルの透明な膜を重ねて光の反射と透過をコントロールする光学多層膜を形成し、これまでの塗装技術では表現できなかった下地に施した繊細な装飾を生かした奥行き感のあるダイヤル表現が可能になった。これに加えてエプソンが開発した両球面サファイアクリスタル風防へのSAR(両面無反射)コーティングを施すことで、それぞれのダイヤルが持つ繊細な色や装飾を隅々までクリアに視認できるようになっている。

レイヤーを1段下げて設けられたパワーリザーブインジケーター部には、サーキュラー仕上げが施されている。

ケースとブレスレットにはヘアラインとポリッシュ仕上げを交互に施し、エッジの立ったシャープで力強い印象を与える。

ダイヤルのみならず、ムーブメントも新たなフラッグシップにふさわしい新型だ。M34 F8 デイトに搭載された自動巻きの自社Cal.F8N64は、ブランド70周年を記念して2021年に発表されたスケルトン以来、ブランドの技術的シグネチャーとなっているシリコン製ガンギ車を搭載し、日差+15秒から−5秒の安定した精度と60時間以上のパワーリザーブを備えている。ここまでは既存のF8系キャリバーと同じだが、新型のCal.F8N64はハイトルク化されており、重たい分針でもしっかり回すことができるようになった結果、立体的な見栄えのある針が採用された。

サファイアクリスタルのシースルーバックから見えるムーブメント。ペルラージュが入った受け、コート・ド・ジュネーブのような独自の波目模様が施された回転ローターには面取り加工も施されている。

ホワイトダイヤルのRef.RK-BX0001S。

ブルーダイヤルのRef.RK-BX0003L。

前述のとおり、ホワイトダイヤル(Ref.RK-BX0001S)とブルーダイヤル(Ref.RK-BX0003L)のふたつのバリエーションを展開するが、それぞれ価格や発売時期が異なる。ホワイトダイヤル(Ref.RK-BX0001S)は34万1000円、ブルーダイヤル(Ref.RK-BX0003L)は36万3000円(ともに税込)で、前者は3月23日(土)、後者は少し時間が空いて6月10日(月)発売開始予定だ。なお、先行して発売されるホワイトダイヤル(Ref.RK-BX0001S)は国内限定200本のリミテッドエディションとなっている。

ファースト・インプレッション
本作の見どころは、やはりダイヤルだ。本作のものは前述のとおり「信州 時の匠工房」製だが、これがオリエントスター初の同工房製ダイヤルというわけではない。M45 F7 メカニカルムーンフェイズのダイヤルも実は同様で、昨年リリースされたブルーグラデーションダイヤル、そして2024年の新作として発表されたグレーグラデーションダイヤルも「信州 時の匠工房」製である。これは本作のわかりやすいセールスポイントのひとつと言えよう。

だが、最大の見どころは光学多層膜技術のほうであろう。本作で初めて取り入れられたこのダイヤルはまさに技術の粋を集めて完成する非常に凝ったものだ。

まずは職人が⼿彫りでペルセウス座流星群をイメージした独特の放射パターンの金型が作られ、これをもとに真鍮板をプレスすることでダイヤルのベースが出来上がる。このプレス成形の際に真鍮には100t以上の圧力がかけられるとのことだが、ベース素材を歪ませることなく金型のパターンをきれいにプレス成形するという技術も実はエプソンの特許技術なのだという。

こうして独特の放射パターンが成形された文字盤素材に対し、ブルーダイヤルには特許取得の光学多層膜技術が用いられた。これは光の干渉現象である干渉色を利用した色表現技術で、シャボン玉が虹色に見える様子を想像してもらえるとわかりやすい。シャボン玉の虹色は塗装や染色などの色をつける成分(色素)によってついているわけではなく、微妙に厚みの異なる透明な膜が特定の波長(色)を反射することで人間の目が色として認識している。エプソンの光学多層膜技術ではこの無色透明な複数の膜厚をコントロールし、本作の場合は青い波長だけを反射させることでブルーの色味を表現しているというわけである。

この技術を利用することでブルー以外のさまざまな理想の色を再現することができるほか、見る角度で文字盤の色調が変化するニュアンス表現も容易にでき、従来の塗装では安定しづらい、難しい色表現も可能になる。そして光学多層膜技術にはもうひとつの大きなメリットがある。それは膜厚が非常に薄いため、濃い文字盤色であっても下地に施した模様や装飾がつぶれにくいという点だ。その結果、本作のように手彫りによる金型を使用するような繊細な仕上げの再現が可能になったのだ。ちなみに限定モデルのホワイトダイヤルのほうが、実は従来の塗装により色付けをしている。

オリエントスターは近年、宇宙や星などをテーマにさまざまな技術を駆使することで、自然の移ろい、時の移ろいといった絶妙なニュアンスをダイヤルで表現してきた。本作で用いられた光学多層膜技術は、同ブランドのダイヤル表現の幅を大きく広げることは間違いなく、今後どのようなダイヤル表現をしていくのかが非常に楽しみである。

そうそう、本当はここで文章を締めくくりたいのだが、どうしても気になる点があったので付け加えておきたい。さらっと紹介したが、本作はムーブメントのトルクがアップしたため、従来よりも立体的で長い見栄えのする分針を載せることができるようになった。特に本作の場合は立体的な植字インデックスとの組み合わせで視認性も高まり、既存のラインナップと比べても一層高級時計にふさわしい顔つきになったと思う。これは間違いなく非常に魅力的なアップデートだ。ただし、画像を見る限り秒針が文字盤外周のプリントインデックスに届いていないのだ。これは好みによるところが大きいし、届いていないからよくないと一概に言えるものではないが、せっかくなら秒針も外周のインデックスに届く長さとする、あるいはインデックスのデザインを針に合わせることでより魅力的なバランスになるのではないかと思っている。

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基本情報
ブランド: オリエントスター(Orient Star)
モデル名: コンテンポラリーコレクション M34 F8 デイト(Contemporary Collection M34 F8 Date)
型番: RK-BX0001S(ホワイトダイヤル)、RK-BX0003L(ブルーダイヤル)

直径: 40mm(ラグ・トゥ・ラグ: 47.3mm)
厚さ: 12.9mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ホワイトダイヤル(RK-BX0001S)、ブルーダイヤル(RK-BX0003L)
インデックス: アプライド、12時位置のみローマン
夜光: なし
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット、プッシュ3つ折式(中留)バックル、本ワニ革レザーストラップ付属(ホワイトダイヤルにはグレー、ブルーダイヤルにはブラック)

ムーブメント情報
キャリバー: F8N64
機能: 時・分針、センターセコンド、12時位置にパワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 60時間以上
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻き付き)
振動数: 2万1600振動/時
石数: 22
追加情報: 日差+15秒~−5秒

価格 & 発売時期
価格: ホワイトダイヤルは34万1000円、ブルーダイヤルは36万3000円(ともに税込)
発売時期: ホワイトダイヤルは3月23日(土)、ブルーダイヤルは6月10日(月)
限定: ホワイトダイヤルのみ国内限定200本

ビギナーのためのGMTベゼル使い方ガイド。

トラベルウォッチマニアのひとりとして、2都市(またはそれ以上)の時刻を表示する時計の基本概念のなかに存在する、無数の組み合わせにこだわらずにはいられない。またトラベルウォッチの機能をフルに活用する方法を知らない人と頻繁にすれ違う日常にも驚いている。予想どおり、これはトラベルウォッチの最も一般的な形式であるGMTでよく起こることだ。

rolex gmt-master
 ロレックス GMTマスターとGMTマスターIIで広く普及したスタンダードなGMTにはいくつかの種類があるが、基本的な機能は、24時間針と24時間表示の回転ベゼルの両方が装備されていること。使用されるムーブメントは、フライヤー(ローカルジャンピングアワー)またはコーラー(独立した24時間針)だが、第2タイムゾーンを追跡する機能は第2タイムゾーン用の24時間針に起因し、さらに多くのことを行うには24時間ベゼルを回転させることでその機能を体感できる。

 次のガイドは還元的であると同時に、知識をひけらかしたようなものに感じられるだろうか? 僕のことを信じたほうがいい。次にGMTの第2タイムゾーンを変更しなければならないとき、これを読んでおけば、リューズに触れたり針を動かしたりすることなく時刻を知ることができるため、僕に感謝することになるかもしれないのだから。

rolex explorer II
ロレックス エクスプローラーIIは、固定ベゼルのデュアルタイムウォッチという一例である。

 GMTを使っている人を見ると、ほとんどの場合は伝統的な“デュアルタイム”ウォッチのように設定されている。メインの針には現地時間が表示され、24時間針はベゼルのデフォルト位置(下図で示しているが、ゼロアワーとは理論上、文字盤の12時位置だ)を読むことで第2タイムゾーンの時刻を表示している。これはこれでいいし、ロレックス エクスプローラーIIのような固定ベゼルの“GMT”(実際にはデュアルタイムウォッチ)に備わっている機能でもあるが、24時間GMTの能力をすべて活用できるわけではない。最大限活用するには回転ベゼルを使う必要があるのだ。

the hodinkee mido LE watch showing two time zones
写真のミドー オーシャンスター GMT LEは、回転式24時間ベゼルを使用しない、標準的なデュアルタイムレイアウトの状態だ。

タイムゾーンの変更にはUTC/GMTオフセットを使用する
 GMT、特にロレックス GMTマスターIIのようなフライヤーGMTや、HODINKEEが最近コラボレートして製造した2本のGMT(ひとつはロンジン、もうひとつはミドー)を使用する場合、僕は24時間のGMT針をUTC 0にセットし、ベゼルを使用して表示しているタイムゾーンのUTCオフセット(編註;特定の時刻ゾーンとUTCのあいだの時間と分の差)を使い、特定の第2タイムゾーンに“ジャンプ”することを好む。厳密にはローカルタイム、UTC 0、ベゼルによって設定されているタイムゾーンがあるため、3つのタイムゾーンが1本の時計に集約されることになる。画像で説明しよう。

map of the standard timezones
標準時UTCタイムゾーンの地図(UnaitxuGV、Heitordpなど、パブリックドメインはWikimedia Commons経由)。

 まず“協定世界時(Coordinated Universal Time)”の略語であるUTCについて、ある程度理解しておく必要がある(これは米軍を含む一部軍組織においては、ZULUタイムとしても知られている)。よく旅行をしたり、ほかのタイムゾーンに住む人と多く交流していれば、GMT(グリニッジ標準時)の概念をより現代的にしたUTC 0という中央タイムゾーンがあることをご存じだろう(東に行けばUTC +1、+2など数値が上がり、西に行けばUTC-1、-2など下がっていく)。UTCの開発については、CUTと略されない理由も含めてこちらを参照してほしいが、簡単に言うとUTCは1967年から存在し、原子時計のように精度を高めるべくGMTをアップデートしたものである。

 GMTと同様に、UTC 0は本初子午線と一致し、経度線のように0から外側に向かって拡大する24のフルタイムタイムゾーンが広がっている。つまりロンドンはUTC -0、ニューヨークはUTC -5、ジュネーブはUTC +1、ドバイはUTC +4、東京はUTC +9である。24時間の“GMT”針をUTC -0にセットすれば、GMTウォッチのベゼルをUTCオフセット(特定の空港や都市、または既知のタイムゾーンの場合)の数だけ回転させることができる。

longines GMT showing UTC time
時針でトロントの現地時間(10:00)を示す“ロンジン スピリット Zulu Time LE”。GMT針はUTC 0(15:00)にセットし、ベゼルはジュネーブのUTC +1を考慮して1時間分回転している。

 ホームタイムゾーンがUTC -5(僕はカナダのトロントに住んでいる)で、ジュネーブの時刻を知りたいと仮定してみよう。トロント(ローカル)が10:00の場合、UTC 0は15:00(+5時間)になる。そこで、ベゼルはホームポジションのまま、GMTの24時間針を15:00にセットした。次に、ジュネーブの時刻を表示するために、24時間ベゼルを回転させてUTCオフセットを正午の位置に表示する。上の画像でも説明しているが、もっと簡単に言うと、ジュネーブがUTC +1(16:00)なら、GMTベゼルの12時位置(ゼロアワーのポジション)に“1”と表示することで、24時間針とベゼルを使ってジュネーブの時刻を知ることが可能だ。

longines GMT showing time in Toronto and tokyo
このロンジン スピリット Zulu Time LEでは、時針でトロントの現地時間(10:00)を表示し、GMT針はUTC 0(15:00)に設定し、ベゼルは東京のUTC +9を考慮して回転している。

 現在、24時間針はUTC 0(15:00)に設定されているため、東京の時刻を表示したい場合は、ベゼルを回して12時の位置に“9”を合わせるだけだ。ベゼルには東京の24時間の時刻(0:00)が表示されるようになり、リューズを操作したり針を動かしたりと、時計の時刻を調整する必要がなくなる。繰り返しになるが、すべては24時間針をUTC 0に設定することにかかっており、この具体的なシナリオは上の図で説明している。

Mido GMT showing geneva local time, toronto away time
このミドー オーシャンスター GMT LEでは、時針でジュネーブの現地時間(16:00)を表示し、GMT針はUTC 0(15:00)にセットし、ベゼルはトロントのUTC-5(24-5=19)を考慮して、12時位置に19が来るように回転させている。

 おまけに、この記事で紹介したロンジンやミドーのようなフライヤーGMTを使えば、新しいタイムゾーンに移動しても、24時間針の位置を変えずに現地時間の更新ができる。そのため、僕がジュネーブに旅行する場合は、着陸し、メインの時針を+6時間ジャンプさせてスイスの時刻(16:00)を表示し、ベゼルを回転して正午の位置に“19”を配置する(19はUTC 0のトロントの-5時間のオフセットを24時間から差し引いたもの)。1本の針を動かすだけでローカルタイム(16:00)とホームタイム(10:00)が表示された。簡単に言うと、これはかなり便利な機能だ(上図)。

 ジェットセッターの多くはこの機能を知っていると思うが、このガイドはアクティブに旅行している人や、単にほかのタイムゾーンを追跡する必要がある人など、GMTを最大限に活用したいという人の役にも立つかもしれない。最後に、GMT機能を搭載した新しい時計、特にフライヤー機能のモデルを探しているなら、この記事で紹介したミドーとロンジンの限定モデル(シリアルナンバー入り)は、いずれもHODINKEE Shopで購入可能だ。

フラテッロウォッチの優秀なスタッフらが、今までで一番手頃な価格の最新限定モデルをリリースした。

このコラボレーションのために、このオランダ発のメディアはRZEと協力して、冒険のためにデザインされたツールウォッチ、RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥールを製作したのだ。

2020年に設立されたRZEは、チタン製のツールウォッチで知られるブランドで、この度フラテッロと協力して冒険に適した時計をデザインした。RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアは、40mm径×10.5mm厚(ラグからラグまで46mm)のグレード2チタンケースを採用。この実測値には、ARコーティングを施したフラットな風防も含まれている。ラグは少し下へと傾斜しており、ストラップの交換を容易にするための穴が設けられている(素晴らしいディテールだ)。さらにレゾリュート プロ コントゥアのチタンブレスレットには、工具不要のマイクロアジャスト機能も搭載している。

文字盤はカーボン製だが、そこにスティールパウダーを注入することで、地形図のようなクールなパターンを作り出した。このコンセプトは、エングレービングが施された裏蓋ともマッチしている。

内部にはミヨタ90S5ムーブメントを搭載。有名な日本の自動巻きムーブメントであり、約42時間パワーリザーブ、2万8800振動/時、ハック機能を備えている。

RZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアの予約注文は、フラテッロの公式サイトにて3月14日(木)の午前10時(アメリカ東部時間)から1週間だけ開始される。なおメーカー希望小売価格は679ユーロ(日本円で約11万円)で、予約注文時には日本円に自動換算される。

愛好家向けのフレンドリーなメディアが提供する、1000ドル(日本円で約14万7000円)以下の冒険心くすぐるツールウォッチを気にいらない人はいるだろうか? この時計について、私たちが気に入っている点を挙げよう。まずサイズ感がちょうどよく、装着しやすいチタン製ケース、穴の開いたラグ、ソリッドバック、コンポジットカーボン文字盤、工具不要のマイクロアジャスト機能…もっと言いたいことはあるが、要点はわかってもらえただろう。これはマニアが求め、愛してやまない意匠のすべてを、新進ブランドとのコラボレーションにより、手頃な価格でミヨタ製パッケージに収めたものなのだ。

カーボンダイヤル全体にSSの斑点を散りばめることで、競合モデルやRZEのほかのカタログとは一線を画し、コントゥアに真の特徴を与えている。

これは限定モデルだが、予約受付は3月14日から1週間の猶予があるため、フラテッロに駆け込んでRZE×フラテッロ レゾリュート プロ コントゥアを手に入れる時間は十分にあるだろう。

基本情報
ブランド: RZE×フラテッロ(RZE×Fratello)
モデル名: レゾリュート プロ コントゥア(Resolute Pro “Contour”)
型番: 1021

直径: 40mm
厚さ: 10.5mm(風防込み)
ラグからラグまで: 46mm
ケース素材: グレード2チタン(ウルトラヘックスコーティング)
文字盤: スティールパウダー入りカーボンファイバーコンポジット
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタンブレスレット、工具不要のマイクロアジャスト機能

rze fratello watches contour limited edition
ムーブメント情報
キャリバー: ミヨタ 90S5
機能: 時・分・センターセコンド
直径: 26mm
パワーリザーブ: 約42時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻き付き)
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24

価格 & 発売時期
価格: 679ユーロ(日本円で約11万円)
発売時期: 3月14日(木)から3月21日(木)まで予約受付。フラテッロによると、予約受付開始から4カ月以内にすべての時計をデリバリーする予定とのこと
限定: 1週間だけの先行予約

G-SHOCK初号機にオマージュを捧げたDW-5000Rが登場。

G-SHOCKというブランド、そしてその愛好家にとってDW-5000Cは特別な存在だ。“オリジン”の名でも知られるこのモデルは1983年のブランドデビュー時に記念すべき1作目として発表され、その後に続くG-SHOCKのあり方を決定づけた。シルエットを見ればひと目でG-SHOCKとわかるそのフォルムは、2023年6月26日に特許庁によって“立体商標”に認定。長きに人々に長く愛され、認知されてきたこと如実に示すエピソードである。

そしてこの冬、カシオ時計製造50周年を締めくくるかのようにスペシャルなモデルが発表された。DW-5000Cのデザインを現代のG-SHOCKに求められるスペックを満たしたうえで再現した、DW-5000R。オリジンの持つ精神性も強く打ち出した、非常に意義深い1本だ。

DW-5000Cが生まれた1983年当時と現在では、G-SHOCKが実施している品質試験のハードルは大きく異なる。そのため、DW-5000Rにおいては単純にDW-5000Cのフォルムをトレースすることが許されなかった。特に、これまでのオリジンモチーフのモデルにおいてブランドのファンが求めてきたフラットなベゼル(現在、12時方向のPROTECTION、6時方向のG-SHOCK部分は段差が設けられ盛り上がっている)を実現するためには、DW-5000Cの41.6mm径では十分な耐衝撃性を確保することができない。この問題を解決するために、カシオは本作のケース径を42.3mmまで拡張。オリジンの雰囲気を崩さず、要件を満たすためにギリギリの調整を行った。

また、当時のデジタル表示を再現するために最新のモジュールにアレンジを施している。現代的なスペックを持たせつつ、顔立ちはノスタルジーを感じさせるものとした。微細な調整ではあるが、根強いファンに応えたいというカシオの意気込みを感じさせる。

もっと細かな点を挙げれば、サイドのボタンを押しやすいようにとボタンの下半分側が1段低くなっていたり、環境に配慮したバイオマスプラスチックの採用などアレンジは各所に見られる。しかしカシオは、それらの現代的な需要を踏まえつつもその外観を限りなくオリジンに近く寄せてみせた。そしてSNS上での予想を裏切り、本作は限定ではなく通常モデルとして展開される。初回ロットで購入できなくても、いつかは手に入れられるということだ。価格は3万3000円(税込)となっている。

ファースト・インプレッション
これまでにもオリジンモチーフのモデルはいくつか発表されてきた。しかし、樹脂製ケースでここまでG-SHOCKファンの要望に応えたモデルはかつて存在していない。フラットなベゼルに、当時に忠実な時刻表示。そして本作は海外の提携工場ではなく、山形カシオで製造されている。熱烈なファンのなかには初号機のレンガパターン右下に配された“JAPAN”の文字を覚えている人もいるだろう。日本初の日本製タフネスウォッチとしての誇りを示すこの表記は、過去のオリジンモチーフモデルには見られなかったものだ。カシオによると、DW-5000Rは決して山形カシオでしか作れないモデルではないという。だが、その精神性を示すうえでは名実ともに日本製であることが重要だったのだろう。

そのこだわりは、外装からは判別できないインナーケースにまで及んでいる。現在でこそカーボン素材を使用した軽量かつ対衝撃性を意識した構造が取られているが、DW-5000Rでは当時と同じステンレススティール(SS)製のインナーケースを採用した。正直この時計のオーナーは、意図的にバイオマスプラスティック製のベゼルを取り払わない限りインナーケースを拝むことはないだろう。しかしカシオはこの点においても誠実であった。多少重量は増したかもしれないが、ファンが求めるものを理解し、きちんと本作に落とし込んだのだ。

DW-5000Rはオリジンの意匠を投影しつつ、ただ原作をなぞる以上の価値を有したプロダクトに仕上がってたと個人的に思っている。G-SHOCKは進化し続けるブランドだ。皆が求めるスペックを高密度実装技術をはじめとしたテクノロジーでカバーし、常に僕たちの予想を上回ることを目的に開発されてきた。そのフィロソフィーは本作にも確かに継承されている。カシオがDW-5000Rを通常モデルとして展開したところには、G-SHOCKの原点たる精神性を定め、それを店頭で実感して欲しいという意図があったのだという。僕個人としてももちろん本作を手に入れたいが、初期ロットにこだわらずゆっくり様子を見たい。1983年に伊部菊雄氏が立ち上げたG-SHOCKのあり方は揺るぎなく、そう簡単に移り変わるものではないのだから。

基本情報
ブランド: G-SHOCK
型番:DW-5000R

直径: 42.3mm
ケース素材: バイオマスプラスチック、インナーケースはSS製
文字盤色: ブラック
夜光: LEDバックライト(スーパーイルミネーター)
防水性能: 20気圧
ストラップ/ブレスレット:バイオマスプラスチック
追加情報: 100分の1秒ストップウォッチ、タイマー、マルチアラーム、報音フラッシュ機能

セイコー 奇想天外な時計たち

セイコーは13年ぶりに“パワーデザインプロジェクト”という社内プロジェクトを復活させた。これは非常に興味深い取り組みであり、セイコーウオッチの社内デザイナーたちが、従来の枠にとらわれず自由に時計のコンセプトを探求できる場となっている。昨年のテーマは“専用すぎる腕時計展”であり、デザイナーたちは実用性を重視した時計を生み出すことを求められた。しかし、それは我々が一般的に考えるような実用性とはやや異なるアプローチだった。

昨年のプロジェクトで、文字どおり“パンダ”クロノグラフを再解釈したかつてないほどユニークなモデルが登場したのを見逃していたなら、惜しいことをした。しかし心配は無用だ。今年もセイコーは“専用すぎる腕時計展2”というシンプルながら的確なタイトルで、このプロジェクトを再び開催した。

商業的な成功はさておき、このプロジェクトは、巨大コングロマリットが社内の才能を育成して膨大な製品ラインナップのなかで遊び心ある個性を表現する素晴らしい試みである。規模の大小を問わず、時計デザインの背後にある人間らしさを改めて感じさせてくれる。今年は6本の時計が登場し、そしてそのどれもが驚くほど専門に特化していた。

ナイトモード
最初に紹介するのは忍者専用腕時計だ。タクティクール(tacticool)とタクティカル(tactical)が融合したデザインであり、忍者が夜の闇のなかで活動することを考慮し、すべてブラックで統一されている。忍者が直面する外部衝撃(共感できる人はいるだろうか?)から時計を守るため、デザイナーの菅沼佑哉氏は、文字盤の針を保護するスイング式の蓋を採用。この蓋はガラス製または金属製を選択でき、時間を確認していないときには、針をしっかりと覆う構造になっている。

もちろん、この時計には輝くメタルブレスレットや繊細なレザーストラップを合わせるわけにはいかない。菅沼佑哉氏は、忍者専用腕時計にハイブリッドなカフストラップを採用。これは細いレザーを幾重にも巻きつけて装着する仕様となっており、腕にしっかりと固定しながらも肌を保護するデザインになっている。さらにセイコーによれば、この時計は上腕や足首にも巻きつけられるため、忍者のさまざまな動きに適応できるとのことだ。スプリングドライブムーブメントを搭載できるかどうかも気になるところである。

もし忍者のようなステルス性が自分には合わないと思うなら、まったく正反対のアプローチとして、目がくらむような光と鼓膜を揺さぶるサウンドに包まれるナイトクラブの世界へ飛び込んでみるのもいいだろう。そんな環境にぴったりなのが“クラブDJ専用腕時計”だ。セイコーはこれらのコンセプトウォッチが市販予定のないデザインであることを明確にしているが、特にこのDJ専用腕時計に採用されたインフィニティ(無限)ミラーのアイデアは、ぜひ製品化してほしい要素のひとつだ。ビジュアル面では、まるで『ブレードランナー(原題:Blade-Runner)』をほうふつとさせるネオンカラーが魅力的であり未来的な印象を放っている。さらに時計の見た目から判断すると、セイコーのルミブライトを塗布する必要すらなさそうだ。クラブでDJをするなら、ブラックライトの下で自然に発光し、最高の視認性を発揮することだろう。

クラブDJ専用腕時計

この時計はDJ専用というだけあって、文字盤の時間表示にもユニークな工夫が凝らされている。午後6時から午前5時までの時間のみを表示し、不規則な睡眠サイクルを前提とした設計となっている。デザイナーの伊東絢人氏はこのモデルにセイコーの自動巻きムーブメントを採用しているが、この省略された時間表示がデジタルムーブメントなしでどのように機能するのかは不明だ。すべての要素が綿密に考え抜かれており、ストラップにもこだわりが見られる。選ばれたのは中央にUV反応性のホワイトファブリックを配したレザーストラップで、全体のデザインを引き締める仕上がりとなっている。

夕暮れから夜明けまで
クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督の映画の登場人物がしばしばハミルトンを着用するように、昨年はロバート・エガース(Robert Eggers)氏にとって、『ノスフェラトゥ(原題:Nosferatu)』に企業スポンサーを取り入れ、オルロック伯爵にこの眩い“ヴァンパイア専用腕時計”を持たせる絶好の機会だったのかもしれない。しかし、その宝石がちりばめられた外観を超えて見れば、この時計は太陽恐怖症のトランシルヴァニア人にとって必携の1本といえるかもしれない。

石原 悠氏(セイコーの高級ラインを手がけるデザインディレクター)は、ヴァンパイアが安全に外出できる時間を把握できるよう、文字盤のすべての要素を巧みに設計している。回転ベゼルには赤から透明へとグラデーション状に配置されたクリスタルがセットされており、吸血鬼が最後の血の宴からの経過時間を記録できる仕様になっている。

もし鏡に自分の姿が映り日の出とともに目覚めるなら、きっとバランスの取れた朝食で1日を始める準備ができているはずだ。そこで登場するのが“ゆで卵好き専用腕時計”である。ケース側面のプッシャーを操作すると、好みの固さに応じたタイマーをセットできる(ちなみに私は半熟一択)。さらにこのケースは10%の卵殻を含むプラスチック複合素材で作られており、まさにゆで卵愛好家のためのアイテムとなっている。

針は時間の経過とともにスイープし、最後に振動して卵の茹で上がりを知らせる仕組みになっている。もちろん、デザイン面でもこの時計のテーマがしっかりと反映されており、オレンジからイエローへと変化するグラデーションダイヤルはまさに卵の黄身を思わせる色合いだ。この時計を手がけたのはグランドセイコーの酒井清隆氏。デザインの詳細は、公式ページに登場する“タマリエ(卵ソムリエ!?)”に聞いてみるといいだろう。まさにエッグストリーム(極端な卵愛)とも言うべき時計だ。

古き伝統
ついに、全面夜光ダイヤルを採用したモデルが登場した。しかし、まさかそのデザインが“サンタクロース専用腕時計”になるとは予想していなかった。暗闇で光るダイヤルの上を、白い秒針が駆ける。その先端には赤いトナカイがデザインされている。確か赤いのはルドルフの鼻だけだった気がするが…まあ、それはさておき。時刻表示は夜間のみに限定されており、これはサンタのプレゼント配達スケジュールに合わせたものだ。また星型のGMT針がセカンドタイムゾーンを指し示し、世界中を飛び回るサンタにとって実用的な設計となっている。

この時計の時間表示の仕組みが現実世界でどのように機能するのか、正直なところ完全には理解しきれていない。しかしそれを議論するのは、魔法映画のなかで熱力学の法則を持ち出すようなものだとも思う。松本卓也氏が手がけたこのモデルは、今回のデザインのなかでも最も装飾性の高い1本だ。ハンターケースを採用し、ヴィンテージ懐中時計を思わせるディテールが随所にちりばめられている。さらに美しくデザインされた彫刻入りのカバーが、クラシカルな魅力を一層引き立てている。

もしクリスマスに本当の恋が見つかるかどうかを知りたかったなら、この展示の最後を飾る時計が、その問いに答えてくれるかもしれない。廣瀬由羽氏が手がけたこの“恋する乙女専用腕時計”は、恋に夢中な若者たちが運命の人を探す手助けをするという、なんとも愛らしいコンセプトの時計だ。

特徴的なのは、ひとつの針が半透明の花びらディスクになっている点。このディスクには花占いの機能が組み込まれており、花びらの一部がカットアウトされている。占いを始めるとディスクがランダムに回転し、下に印刷された“LOVE me”または“Love me NOT”のどちらかのメッセージが小窓から現れる仕組みだ。さらに、大きく歪んだクリスタルを採用することで、占いの結果はボタンを押した人にしか見えないようになっている。