月別: 2025年5月

タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ レーシンググリーン 限定モデル

昨年、タグ・ホイヤーはフランスのリバリーカラー(レーシングカラー、チームカラー)にオマージュを捧げたモナコ クロノグラフ レーシングブルー 限定モデルを発表したが、今年はイギリスにおいて象徴的なレーシンググリーンが採用された。リバリーカラーの使用について簡単におさらいすると、20世紀初頭から1960年代にかけて、レーシングドライバーたちは国ごとのリバリーカラーで競い合っていた。イタリアはもちろん赤、ドイツは白や銀、フランスは青を使用していた。そしてイギリスが緑を使用するきっかけとなったのは、1902年のゴードン・ベネット・カップ(Gordon Bennett Cup)で、セルウィン・エッジ(Selwyn Edge)がイギリス代表として優勝した際に、国の車両を区別するために緑が選ばれたことに由来する。緑色は時代とともにその色調が変化してきたものの、今なおブリティッシュレーシングの象徴として認識されている。“ブリティッシュレーシンググリーン”という概念は、特定の緑色を連想させる用語として、さまざまな産業で頻繁に使われるほどのアイコニックなカラーなのだ。今年タグ・ホイヤーはこのカラーと、歴史的なブリティッシュレーシングカーに見られる白と黄色のアクセントにインスパイアされた新しいモナコを、満を持して発表した。

シルバーのサンレイ仕上げが施された文字盤には、タグホイヤースーパーコピー代引き 口コミ第1位ブランドが“グリーンオパーリン”と称する鮮やかなサブダイヤルが配置されている。アワートラックにはライトグリーンのスーパールミノバが施され、クロノグラフ秒針と12時位置のバトン型インデックスには黄色のラッカーが塗布されている。6時位置にはデイト表示窓があり、ポリッシュ仕上げのシルバーの時・分針がダイヤル全体を引き締めている。

 昨年のレーシングブルー 限定モデルと同様に、このモデルは39mm径のグレード2チタンケースに全面サンドブラスト加工が施されており、面取りされたドーム型のサファイアクリスタル風防とサファイアクリスタルのケースバックが装備されている。ラグからラグまでの長さは47.4mm、厚さは14.35mmと大型のスクエアケースであり、ほかのモナコモデルと同様のサイズ感だ。防水性能は100mを誇り、レーシング仕様でパンチングが施されたグリーンカーフストラップとチタン製のデプロワイヤントバックルが付属している。

monaco side profile
 1969年のオリジナルバージョンへのオマージュとして、ケースの9時位置にリューズが配置されている。内部にはタグ・ホイヤーの信頼性の高いキャリバー11が搭載されており、これはセリタのSW-300をベースにデュボア・デプラ製のクロノグラフ用モジュールを組み合わせたムーブメントである。

monaco caseback shot
 タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ レーシンググリーンは1000本限定となっており、ケースバックには“One of 1000”と刻印されている。現在発売中で、価格は130万3500円(税込)である。

我々の考え
モナコはすべての人の好みに合う時計ではないかもしれないが、この時計が持つ歴史や文化的な意義を否定することはできない。タグ・ホイヤーがモナココレクションの歴史に深く敬意を払いながら、必ずしもオリジナルを忠実に復刻しただけではないモデルを引き続き展開しているのは喜ばしいことだ。サンドブラスト加工が施されたチタンケースは従来の限定モデルとの素晴らしい区別要素であり、またほかのモナコには多く見られる赤がこのカラーバリエーションには一切使われていない点も注目に値する。個人的には、この色の組み合わせは非常によくまとまっていると思う。昨年のフランスエディションに見られた青と黄色のコントラストよりも、このグリーンとイエローの組み合わせのほうがしっくりくるように感じる。グリーンとイエローがセットになることでどこか20世紀中ごろのネオンサインのようなユニークな雰囲気を醸し出していて、遊び心がありながらもインダイヤルの落ち着いたグリーンのおかげで控えめな印象を持つ。

 この時計がチタン製であることは確かだが、130万3500円(税込)という価格がその価値に見合うかどうかは最終的には購入者次第である。私は新しいカレラ グラスボックスの大ファンであり、そのクロノグラフがおおむね40万円ほど安く、自社製のクロノグラフムーブメントを搭載していることを考えると、このモナコをすすめるのは少々難しいかもしれない。ただしモナコのストーリーやアイコニックなケース形状に魅力を感じるなら話は別だ。加えてこのモナコの新バージョンは素晴らしいルックスをしている。特にグリーンが好きな私としては、このモデルがラインナップのなかで最も身につけたいモナコであることは間違いない。確かにこれはカラーバリエーションの変更に過ぎないかもしれないが、非常に洗練された仕上がりとなっていることは確かだ。

基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: モナコ クロノグラフ レーシンググリーン 限定モデル
型番: CAW218E.FC6565

直径: 39mm(ラグからラグまでは47.4mm)
厚さ: 14.35mm
ケース素材: グレード2チタン(サンドブラスト仕上げ)
文字盤色: サンレイが施されたシルバーダイヤルにグリーンのサブダイヤルとイエローのアクセント
インデックス: ポリッシュが施されたアプライドインデックス
夜光: スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: チタン製フォールディングクラスプが付いたグリーンのカーフスキン

ムーブメント情報
キャリバー: タグ・ホイヤー自社製キャリバー11
機能: 時・分・秒表示、デイト表示、クロノグラフ
パワーリザーブ: 40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 59

価格 & 発売時期
monaco front
価格: 130万3500円(税込)
発売時期: 発売中
限定: 1000本限定

複雑機構が増えるほど時計はよくなるのか?

MB&FのLM シーケンシャル フライバックに搭載されたムーブメントは、現代時計界の天才が生み出したGPHG受賞作をも凌ぐ、客観的に見て優れたものだ。しかし、MB&FがLM シーケンシャルの後継モデルにおいて変えたのは、それだけではない。これによって、何が時計をよくするのか、成功したモデルとは、魅力的な時計とは、そして自分にとってぴったりの時計とは何かという興味深い議論への扉が開かれるのだ。このような話題は、21万8000ドル(日本円で約3360万円)という高価な時計に限らず、さらに広い範囲にも応用可能なテーマである。

MB&F LM Sequential Flyback and LM Sequential EVO
もしこれが、少し難解な専門用語の羅列に聞こえるなら、もう少しわかりやすく説明しよう。2022年、MB&FはLM シーケンシャル EVOを発表した。このクロノグラフは時計界において、かつて見たことも考えられたこともないデザインであり、MB&Fだけでなく業界全体にとっての転換点となるムーブメントだったことは明白だった。この時計のムーブメントを手がけたのは、ベルファストを拠点とする複雑機構のスペシャリスト、スティーブン・マクドネル(Stephen McDonnell)氏で、MB&F創業者のマックス・ブッサー(Max Büsser)氏は彼のことを“人生で会った唯一の天才”と称した。昨年のドバイ・ウォッチ・ウィークでマクドネル氏に会い、口コミ第1位のカルティエスーパーコピー代引き専門店Hicopy.jp彼が行ったウォッチメイキングに関する最も興味深いプレゼンテーションを目の当たりにしたが、その評価に異論を挟む余地はないと感じた。

MB&F LM Sequential EVO
ブッサー氏は常に、“ほかと同じようなクロノグラフはつくらない”と言っていたが、これほど革新的なものになるとは予想していなかった。LM シーケンシャル フライバックは、本質的にふたつのクロノグラフをひとつの時計に収めたような構造だ。ケースの左側と右側には、それぞれ通常のクロノグラフ用プッシャーが備わっており、文字盤の9時位置付近には動作状態を表示するインジケーターがあり、その上の11時位置には30分積算計が配置されている。

このふたつのクロノグラフは独立して操作可能だが、それだとスプリットセコンドクロノグラフとして使うには少々不便だ。しかし、9時位置にある“ツインバーター”と呼ばれるプッシャーを押すことで、両方のクロノグラフの状態を同時に切り替えられる。一方が動作中で他方が停止中ならばスイッチし、両方が停止中であれば同時にスタートできる(その逆も然りだ)。

MB&F LM Sequential EVO
6時位置には小さな時刻表示があり、2本の小さな夜光針が配置。その上には大きなテンプが鎮座している。しかしクロノグラフはテンプの安定性に大きな影響を与える。クロノグラフを起動すると、振幅が30°も低下し、精度に悪影響を及ぼす。さらに、この時計のふたつのクロノグラフはひとつのテンプで動作するため、通常ならば60°の低下が見込まれ、正確な時刻の維持は不可能になるはずだ。だがマクドネル氏はこの問題を見事に解決した。技術的な話がお好きな方は、この革新について詳しく解説した過去のIn-Depthを参照するといいだろう。

MB&F LM Sequential EVO
LM シーケンシャル EVOの開発であまり語られない側面のひとつは、これが“EVO”であったという事実だ。EVOとは、MB&Fがスポーティなケースを指す際に使う用語で、一体化したラバーストラップ、ガルバニックブラックの文字盤にスーパールミノバ、衝撃吸収システムの“フレックスリング”、高い防水性能を備えている。パテックのようなメーカーがてがけるドレスクロノグラフ(たとえば5004なら、時計から手を引く覚悟もできるほどだ)も魅力的だが、ブランド初のクロノグラフとしてスポーティなケースを採用したのは理にかなっていた。しかし、発表当時からブッサー氏とそのチームは、これが最終形ではないと考えていたのだ。

今年6月、EVOの発表から2年余りを経て登場したのがLM シーケンシャル フライバックだ。変化がある一方で、変わらない部分もある。巨大なテンプやツインバーターシステムはそのままだ。そして今回、このモデルにはさらなる新機能が追加された。それが、両クロノグラフに対応した新しいフライバック機構である。

MB&F LM Sequential Flyback
しかし、LM シーケンシャル フライバックにはEVOケースは採用されていない。代わりに、オリジナルのLM(レガシー・マシン)デザインに立ち戻っている。MB&Fのオロロジカル・マシンがブランドのアバンギャルドな象徴である一方で、レガシー・マシンはほんのわずかに伝統的な時計製造の歴史に寄り添っている。ドーム型の形状やダイヤルプレート上に露出したメカニズムを備えながらも、インディペンデントウォッチ製造の伝統に影響を受けたデザイン要素が随所に見られるのだ。それらは時計を裏返すとよりはっきりとわかる。

MB&F LM Sequential Flyback
このような巨大なギアを備えた時計をほかに知っているだろうか。たとえばオメガのCal.321と比べてみると、この中間車(輪列の一部)のサイズは滑稽なほど大きい。しかし、この時計にはジャン-フランソワ・モジョン(Jean-Francois Mojon)氏とカリ・ヴティライネン(Kari Voutilainen)氏がてがけたLM1から受け継がれた、ジュネーブストライプやアングラージュ(面取り)といった伝統的なウォッチメイキング技術の特徴が数多く詰まっている。さらにクロノグラフならではの興味深く複雑な要素が加わっている点も特に目を引く。

MB&F LM Sequential Flyback and LM Sequential EVO
LM シーケンシャル フライバック(左)とLM シーケンシャル EVO(右)。

新しいムーブメントは、石数が59石から63石に増えている。この数は一見“品質”を誇示するための過剰な装飾のようにも思えるが、決してただの見せかけではない。石が多いことが必ずしも優れたムーブメントを意味するわけではなく、単に多くの石が組み込まれているムーブメントということに過ぎないからだ。

このケースでは、1930年代にパイロット向けに設計されたフライバック(即時リセット機能)を組み込むために、スティーブン・マクドネル氏がムーブメントのレバーやハンマーの機構を大幅に改良する必要があった。LM シーケンシャル EVOの時点で、すでにこの改良に取り組んでいたが、その時点ではふたつあるクロノグラフのうちひとつの輪列だけが完成していた。

MB&F LM Sequential Flyback movement
そのほかにも微妙な変更が施されており、その最もわかりやすい例がパワーリザーブ表示だ。具体的には満タンから空までを指す矢印が変更されている。新しいLM シーケンシャル フライバックでは、ソフトでクラシックな針が採用されているのに対し、EVOではアロー針が使われている。これが時計全体の性能に大きな影響を与えるわけではないが、MB&Fがふたつのモデルを差別化するために細部まで配慮していることが伝わる工夫である。

MB&F LM Sequential Flyback movement
LM シーケンシャル フライバック

MB&F LM Sequential Flyback
わずかに異なるパワーリザーブインジケーターが備わった、LM シーケンシャル EVO。

次に文字盤側の美学に触れていこう。LM シーケンシャル EVOは、2020年に登場したLM パーペチュアル EVOに続く形でデザインされた。EVOモデルの開発では、衝撃吸収機構のフレックスリングシステムに加え、“ダークサイド”な外観が採用されているのが特徴だ。これは、カラフルなダイヤルプレートを保ちながらも、ブラックガルバニック加工のディスクとサンセリフ体のフォントを使用し、すべてを同一平面上にフラットに配置している。また、必要な部分には夜光針が使われている点も興味深い。さらにLM シーケンシャル EVOはMB&Fが“定番”とする、通常のLMシリーズを発表する前にEVOモデルを先行させた初めてのケースでもあった。

新しいLM シーケンシャル フライバックはホワイトラッカー仕上げのダイヤルに回帰。リングにはドーム型の立体感が施されている。フォントもセリフ体に戻り、時刻表示用のダイヤルのローマ数字も復活した。

MB&F LM Sequential Flyback
この時刻表示用ダイヤルには再び傾斜がつけられており、斜めからでも時間が読み取りやすくなっている。また、大きな時刻表示がクロノグラフ表示の邪魔をしないように配慮されている。文字盤側に複雑な機構が搭載されているにもかかわらず、スポーティさを抑えたことで、全体の印象が大きく変わる点が非常に印象的だ。

MB&F LM Sequential Flyback
ほかにもいくつか小さな違いがある。EVOのツインバーターには、プッシュしやすさを向上させるための突起が設けられており、操作の際に視認せずとも触感でプッシャーの違いがわかるようになっている。一方フライバックでは、下部のプッシャーに“Flyback”の文字がエンボス加工されている。ただし、ケースを横から見ると、両モデルの最大の違いがよりはっきりとわかるだろう。

MB&F LM Sequential Flyback
EVOケースは、MB&Fがこれまでに達成してきたデザインのなかでも最も成功したもののひとつかもしれない。ケースをスリムにすることで手首にしっかりとフィットするデザインを実現しており、44mm×18.2mmという大きさながらも、7.25インチ(約18.4cm)以下の細めの手首にも収まる。素材にはステンレスより軽くチタンよりも耐久性が高いジルコニウムを採用。一体型ストラップ付きで、現在の市場で言う“ビッグ”ウォッチのなかでも、抜群の装着感を誇るモデルと言えるだろう。防水性能も80mあるため、少なくともプール程度であれば気兼ねなく使用できるはずだ。

MB&F LM Sequential EVO
新しいLM シーケンシャル フライバックのサイズはEVOと同じだが、今回はプラチナケースにビス留めのラグというより伝統的なケース形状を採用。手首に乗せた際の見た目がまったく異なり、実際につけた感じもかなり重量感がある。防水性能は30mのため、プールに持ち込むのは難しい(修理費に糸目をつけないのでなければ)。確かに、機能的には“優れている”が、物理的にはそうではない面もある。技術的に多くを成し遂げる一方で、実用性はやや控えめなこの時計が、自分にとってはEVOの改良されたムーブメント以上に重要な問いを呼び起こした。それは、“どちらがこの時計のデザインにとって最も真の体験を与えてくれるか?”という問いだ。

MB&F LM Sequential Flyback
MB&F LM Sequential Flyback
答えはひとつではない。確かにクロノグラフにはスポーティさが求められるものであり、EVOはその点で期待に応えている。もしもアメリカの一部で家が買えるほどの高価な時計を購入すると考えるなら、さまざまな場面で“使える”時計を求めるだろう。

夏休みでのビーチや時計愛好家との集まり、大切な人たちとのフォーマルなディナー(さらにはそれ以上のシチュエーション)まで、幅広い場面で着用できる時計かどうかがポイントになる。そう考えるとEVOはより適した選択だといえるかもしれないが、いくつかの場面では実用性に少し無理があるようにも感じる。その点はフライバックも同様であり、ケース形状や文字盤の種類がどれほど上品であっても、ドレスウォッチとしては使いづらいだろう。

MB&F LM Sequential Flyback
ある人が教えてくれたのだが、こういった特別な時計を購入できる幸運な人々には、まったく異なる購入の考え方があるらしい。つまり、EVOならスポーティでアバンギャルドな時計を、フライバックならクラシックで価値のある時計を、といったように、用途を特定して選ぶのだ。すべての場面で使えることを期待せず、特定のシーンで輝く1本を選ぶという考え方である。そうすることで、毎日同じ時計に手が伸びるのではなく、あえて違う時計を選ぶ理由ができるのだ。

MB&F LM シーケンシャル フライバック。44mm径、18.2mm厚のプラチナ製ケース、30m防水。ブルーのダイヤルプレートにホワイトラッカーのサブダイヤル、ブルー仕上げの針。シーケンシャルダブルクロノグラフ機能、“ツインバーター”機能、時・分表示。スティーブン・マクドネル氏が設計した手巻きムーブメントを搭載、619点の部品、63石、パワーリザーブ約72時間。レザーストラップ仕様。価格は21万8000ドル(日本円で約3360万円)。

グローネからマニュエル・ワンが登場

オランダの時計職人兄弟、ティムとバート・グローネフェルドが、新しい時計だけでなく、エントリーレベルの新ブランド、グローネ(Grøne)を立ち上げた。このブランドは、グローネフェルドらしいデザインを継承しつつ、手の届きやすい価格で提供されている。初のモデル、マニュエル ワンは2150ユーロ(約35万円)という価格で発売される。このモデルは、サーモンカラーのトレンブラージュ仕上げのセンターダイヤルを備え、その周囲を二段構造のブラッシュ仕上げのロジウムプレートダイヤルが囲んでいる。さらに、ブルーの針と、外周にブルーのプリントトラックがあしらわれている仕様だ。

Grøne Manueel One
ケースは316Lステンレススティール製で、最信頼性の日本ウブロスーパーコピー代引き専門店!サイズは直径38.5mm、厚さ10mm(耐傷性サファイア風防を除くと9mm)、ラグ幅は20mm、全長は46mmだ。グローネはこのケースの形状を“1941ケースデザインの進化系”と称している。ベゼルはラグのあいだでドーム状になり、ケース側面はコンケーブ(凹面)になっている。リューズもグローネフェルドのデザインを引き継ぎ、巻き上げがしやすいように円錐形だ。ムーブメントは手巻きのSW-210で、パワーリザーブは42時間。グローネは、このムーブメントのトルクを兄弟の好みの感触に合わせて調整している。

Grøne Manueel One
マニュエル ワンは2024年11月19日に販売開始され、12月から配送が始まる。限定388本で、価格は先述のとおり2150ユーロ(約35万円)だ。

我々が思うこと
時計レビューや執筆において、憧れのブランドやグレイルウォッチ(聖杯)は、その手の届かなさゆえに魅力的だ。例えば、グローネフェルドの1941 プリンシピアは、中古市場での価格が下がっても、まだ手の届かない存在である。しかし、バートとティム・グローネフェルドが手頃な価格帯の新ラインを発表したことは、私のような人々に直接訴えかけているように感じる。これは、MB&FのLM101を手に入れることが難しいファンにとって、M.A.D.1が成功を収めた理由と同じだ。約2350ドル(約36万円)という価格は、SW-210ムーブメントを搭載した時計としてはやや高めだが、それでも手頃に感じられる。

Grøne Manueel One
コミュニティの構築や物語を伝えるアイテムとしても、マニュエル ワンは非常に魅力的だ。この時計にはシェフズ ワンという愛称がつけられており、これはバートとティムの父であるシェフ・グローネフェルドにちなんでいる。時計への興味を持たせてくれた私の祖父もオランダ系だったので、これは特別な意味がある。時計には“Oldenzaal(オールデンザール、グローネフェルドとGrøneの拠点)”や“Netherlands(オランダ)”といったブランドのルーツが刻印されており、ケースバックにはオールデンザールの輪郭とオランダのことわざ“Zoals het klokje thuis tikt, tikt het nergens(我が家ほどよく時を刻む場所はない)”が刻まれている。これらの要素が合わさって、個人的にぜひとも手に入れたい時計だ。

Grönefeld family
ちょっと逆の立場で考えてみると、グローネフェルド兄弟が手頃な価格帯の新ブランドを立ち上げることに対し、既存のグローネフェルドオーナーがどんな反応を示すのか興味深い。どのブランドでも初期のコレクターにとっての懸念は、ブランドが展開を広げて製造本数を増やしたり、これまでの路線から離れたりすることで、初期モデルの価値に影響が出るかもしれないという点だ。MB&Fに関しては、M.A.D.1の登場が既存モデルの価格に大きな影響を与えていないことがわかっているので、この動きがほかのブランドにも新しい顧客層をターゲットにするきっかけになるのではと期待している。

基本情報
ブランド: グローネ(Grøne)
モデル名: マニュエル ワン(Manueel One)

直径: 38.5mm
厚さ: 10mm (風防を除いて9mm)
ケース素材: 316L ステンレススティール
文字盤色: 中央にトレンブラージュ仕上げのサーモンダイヤル。それを囲むように二段構造のブラッシュ仕上げとロジウムメッキが施されたダイヤモンドカットの外周リング。
インデックス: ひとつひとつ手作業で取り付けられた、鏡面仕上げのダイヤモンドカットのバトン型アワーマーカー(サーモンダイヤルに一部かかるように配置)
夜光: なし
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: カーフレザー

Grøne Manueel One
ムーブメント情報
キャリバー: セリタ SW210
機能: 時、分、センターセコンド
直径: 25.6mm
厚さ: 3.35mm
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻きムーブメントで、触感をより楽しめるようにトルク調整が施されている。
振動数: 2万8800振動/時間
石数: 19
クロノメーター認定: なし

価格 & 発売時期
価格: 2150ユーロ
発売時期: 2024年11月19日より注文受付開始、配送は2024年12月から開始予定。
限定: あり、388本